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線状降水帯「的中率は3、4回に1回程度」。予測を受けて備えるべきこと

 気象庁は6月から「線状降水帯」の予測を発表するとしている。しかし、その精度は高いといえず、同庁によれば「的中率は3、4回に1回程度」だという。精度が低いままで予測発表を開始するのは、一見、見切り発車とも受け取られかねないが、一体どういった目的があるのか。気象予報士で防災士の千種ゆり子氏に聞いた。

そもそも線状降水帯とは?

千種ゆり子

千種ゆり子氏

 かつて、大雨をもたらすものとして広く知られていたのは梅雨前線や台風、熱帯低気圧だった。それがここ10年ほどで「線状降水帯」という言葉が広まってきた。しかし気象に詳しくない私たちは、過去の大雨が台風だったか線状降水帯だったかを、覚えていないことも多い。実際にこれまで、線状降水帯がもたらした災害はどのくらいあるのか。 「線状降水帯という言葉が一般にも広まったのが、77名の死者行方不明者を出した広島の土砂災害(平成26年)です。その翌年、鬼怒川の氾濫をもたらした関東東北豪雨も線状降水帯によるものですね。さらに、271名もの死者行方不明者を出した平成30年の西日本豪雨も線状降水帯の大雨によるものです。  記憶に新しいところでは、熊本県を中心に日本各地で大雨を降らせた令和2年7月豪雨です。84名の方が亡くなっていて、いまだに2名の方の行方がわかっていません」

発生する条件、注意すべき場所は?

 数多くの死傷者を出している線状降水帯による大雨。季節・気温・地形などで、発生しやすい条件はあるのかという点についても千種氏に聞いた。 「かつては福島や新潟以南がほとんどでした。しかし、地球温暖化の影響で日本の気温も上がってきて、大雨の範囲が北へ広がっています。この先、北海道でも多く発生してもおかしくないと思います」  徐々に北上しているという線状降水帯の発生地域。現在はどの辺りで発生しているのか。また、緯度以外の条件についても知っておきたいところだ。 「現在までに、秋田や岩手でも観測されるようになってきています。主に秋田の方が多いのですが、これは秋田県の西側が海に面している関係です。日本の天気が西から変わるのと同じで、西側に海がある地域の方が発生の可能性が高いと言えます。ただ、注意していただきたいのはそれ以外では発生しないというわけではありません。たとえば、先にお話しした関東東北豪雨では、台風による空気の流れ込みもあって、西側に海がない栃木県や茨城県、宮城県で大雨が降っています」  いまや、日本のどこにいても線状降水帯の危険はついてくるものだということだ。千種氏によれば6月の梅雨時期から9月にかけては特に注意が必要だという。
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精度の低い線状降水帯予測
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