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BTS・RMの“本音”に透ける韓国アイドルの過酷さは「競争社会の写し鏡」か

アイドルになれたとしても…

 しかし、晴れてKポップアイドルになったとしても、めでたしめでたしとはいきません。現実はアーティストにとって不利な長期契約を結ばされるばかりか、報酬も驚くほどに低いのです。 <ほとんどのスターは練習生時代の育成費用をレコード会社に返済するように義務付けられている。ファンからしたらリッチで経済的に自立しているように見えるかもしれないが、個人的な自由のない契約に縛り付けられているのが実情なのだ。>  終わりのない競争の果てに成功を手にしても、本当の勝者は存在しないアイドルシステム。激しい徒労が燃料となりKポップを輝かせているとすれば、なんとも皮肉です。    もちろん、厳しい環境が強いメンタリティを育んでいる側面は否定できません。Kポップ以外でも、女子ゴルフの世界では韓国勢が常に上位争いを繰り広げている。日頃からふるいにかけられる場面に慣れているため、動じない心が鍛えられているからなのでしょう。

Kポップファンの“特殊性”

 けれども、“超競争社会”は無数の敗者たちからの嫉妬といじめの対象になる危険性もはらんでいます。成功した勝者ほどプライバシーを奪われゴシップネタの餌食になり、大衆の憂さ晴らしの餌食になってしまう。人気Kポップアイドルが自ら命を絶ってしまうのも、負の方向に暴走したファン心理が招いてしまう側面があるのですね。  ポジティブの方向に熱狂的に振れる分、反対にも過激に向かってしまうというわけです。  韓国社会とKポップファン特有の現象について、ポーランドのヤギェウォ大学のRenata Iwicka氏が2014年に『There Will Be Blood – the Darker Side of K-pop Fandom』(“いずれ血に染まる” 筆者註・旧約聖書からの引用)というエッセイで問題点を論じています。  著者のIwicka氏は、日本や中国など東アジア文化の専門家です。その氏はファン文化というものがヨーロッパや南米、中国など世界のどこにでもあることを認めたうえで、それでも韓国の“ファンダム”は異質だと指摘します。  それは<公人に私生活は存在しない>という韓国人特有の思想。これが過激化すると、アイドルに対して現実と妄想が入り混じった憧れを抱いたり、部屋に入り込むとかタクシーで追いかけ回すとかのストーカー行為(韓国ではsasaengと呼ばれる)に及んだりしてしまうのですね。
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RMの言葉から伺える心情は…
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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