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アルツハイマー型認知症やALS…“治らない病”に有望な治療法が

患者は10年も待っていられない

上田氏は、ALSにステム・セル・フリー治療を適用するための方法は3つあるという。 ①上田氏の行っている臨床研究よりも大規模な臨床治験を実施し、有効性、安全性、有効投与量を決めて、承認薬として保険適用すること。 「これによって多くのALS患者さんが妥当な費用で治療がうけられるようになります。ただ臨床治験には多大な時間と膨大な費用がかかるのが問題です」 ②通常の薬剤の承認制度ではなく、緊急性が高く、他に代替薬のない、希少な疾患に対する承認制度を活用して、特例として培養上清を承認する。 「これには国の理解と企業の協力が不可欠です。①と②は国と企業(製薬企業)の理解さえ得られれば実現は可能です。 問題は時間です。普通、新規薬剤の承認には10年ちかい時間が必要といわれています。現実問題として、いまいるALS患者さんにはその時間の余裕がありません。 一刻も早く治療を始めなくてはならないのです」

アイスバケット運動も意味があった

「私たちの臨床研究は、細胞加工施設、研究者、臨床医の協力が結集して実施にこぎつけました。しかしこの方法はあくまで個人レベルのチャリティ精神が基礎になっているので限界があります。 そこで3番目の案として、より広範な社会的支援、たとえばかつてのアイスバケット運動*のような募金活動を再起動するのも一つの方法かもしれません。 ALS患者の心の叫びが届くことを願っています」 *アイスバスケット運動…参加者が氷水を頭からかぶり、撮影した動画を公開していく募金運動。オバマ大統領やビル・ゲイツなど有名人が参加し閲覧した人による寄付があつまった。 <上田実 文/宍戸幸夫>
医学博士。専門分野は再生医療・顎顔面外科。 1949年生まれ。1982年名古屋大学医学部大学院卒業後、名古屋大学医学部口腔外科学教室入局。同教室講師、助教授を歴任し、1990年よりスウェーデン・イエテボリ大学とスイス・チューリッヒ大学に留学。1994年名古屋大学医学部教授就任、2003年から2008年、東京大学医科学研究所客員教授併任。2011年よりノルウェー・ベルゲン大学客員教授。2015年名古屋大学医学部名誉教授就任。日本再生医療学会顧問、日本炎症再生医学会名誉会員として再生医療の研究と臨床の指導にあたる。株式会社再生医学研究所代表。近著に『改訂版・驚異の再生医療
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