現代におけるミュージシャンのメンタルヘルス問題は、欧米でも顕在化しています。主な要因は、やはりSNS。
「Burnout: What musicians in 2019 are ‘perpetually terrified’ about」(燃え尽き。2019年を生きるミュージシャンが’絶えずおびえる’もの BBC News 2019年7月17日配信 筆者訳、要約)という記事で、新鋭シンガーソングライターのサム・フェンダーが取材に応じています。音楽業界全体の問題としてアーティストの身体的、精神的な健康に気を配るべきだと主張するサムの発言を受け、問題を投げかけます。
ライブ中に誰もスマホで撮影しなかったのどかな時代とは異なり、いまは最悪のパフォーマンスをしてしまえばすぐに動画が拡散されてしまう。のみならず、プライベートの一挙一動も逐一ネット上にアップされてしまう。
<ソーシャルメディアと“常にトップでいなければ”という感覚が現代のミュージシャンに余計なプレッシャーを与える>
その一方で、SNSの気軽さは若いスターを簡単に祭り上げるイージーな環境も生み出します。こうした激しいアップダウンが、彼らのメンタルヘルスにダメージを与えるというわけなのですね。
良きにつけ悪しきにつけ、あらゆることが“自分”を中心に動いていく恐怖。
<ミュージシャンなんて、本当に空虚な商売だよ。四六時中自分の写真をながめては、自分自身について語ってるんだから>と、サム・フェンダーは嘆くのです。