ガレキ処理より必要なこと(4)

新聞やテレビの報道では「ガレキ処理をしなければ震災復興は始まらない」という印象を受けるが、本当にそうなのだろうか? マスコミが語らない「ガレキ処理」の実態をリポート!

◆田中康夫氏「『地産地消』の大原則で被災地の雇用を創出すべし」

田中康夫氏

田中康夫氏

 兵庫1県が被災地だった阪神・淡路大震災のガレキは2000万t。実質1年で片づき、2年で完了しました。

 3県に及ぶ今回のガレキは2300万t。ほぼ同分量なのに、1年もたって20%=400万tをどこが受け入れるか、推進vs阻止の不毛な議論から抜け出せない。3月19日現在、処理が終わったガレキは全体の僅か7.1%。仮に全国が「絆」で20%を引き受けても、全体の27%しか片づかない。

 じゃあ残った75%近くは、いつ誰がどう処理するのか。政府は明確な工程表を示していない。「広域処理」とは、政府の無為無策を目眩ましするキャンペーンです。

 被災地の自治体は、できれば地域で処理したい。雇用も見込める。ところが環境省は恒久的な焼却施設建設を認めない。3年で取り壊すのが条件の仮設焼却施設のみ。その一方で広域処理のガレキは400万tですから、10tトラックで40万台分。膨大なコストを掛けて、二酸化炭素をまき散らして20%の「絆」を運び出そうとしているのはなぜでしょう?

 全国に1243ある自治体関係の焼却施設のうち、24時間燃やし続けないと炉が傷んでしまうガス化溶融炉やストーカ式焼却炉といった「全連続式」が、644施設と過半数を占めています。これはかつて、ダイオキシンを抑制し「環境にやさしい」との触れ込みで建設費の7割を国が負担して造られたもの。身の丈を越えた豪壮な焼却施設が全国に林立しました。

 分別リサイクルの推進でゴミは年々少なくなっています。しかも建設時と違って維持管理費は全額、自治体負担。ただでさえ財政難の自治体は青息吐息です。そこに発生した東日本大震災。だから野田首相も細野環境相も「(ガレキの)受け入れ自治体に財政支援」、「受け入れ自治体の減価償却費も国が負担する」と“アメとムチ”を言い出したのです。75%の処理のメドも立たないのに……。

 良い意味での「地産地消」のガレキ処理で地元に雇用を生み出し、被災地の復興を目指すべきです。長い間、東北の人たちは「東名阪」の都会へ出稼ぎに来ていました。今こそ逆転の発想で、地元の企業や人々を手助けに、産廃業者もゼネコンも中央から東北へ下働きで「逆出稼ぎ」に行く「新しい方程式」を政治主導で決断すべき。こう具体的に提言しているのに、“馬耳東風”なのが残念です。

⇒ガレキ処理より必要なこと(5)に続く
http://nikkan-spa.jp/184108

【田中康夫氏】
作家、衆議院議員、新党日本代表。’00年より長野県知事を2期務める。’07年に参議院議員に当選、’09年8月の衆議院選挙で兵庫8区から立候補し当選。【公式ブログ】https://www.nippon-dream.com/

― ガレキ処理より必要なこと【4】 ―




おすすめ記事