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「ガリガリ君」異色フレーバーはなぜ生まれる?コンポタ味担当者が語る開発秘話

若手の頃から自分の企画した商品を複数担当できる

 赤城乳業の商品開発において、大手メーカーと大きく違うのは「意思決定の早さ」にあるそうだ。  何か新商品を出す際も、何度も会議でプレゼンを行い、経営層の承認を得て商品化が決定するのではなく、1〜2回の経営会議でGoサインが出れば、即商品化に向けて開発を進める社内体制になっているという。 「赤城乳業の場合、若い担当者でも複数のブランドを持っているのが普通になっています。新卒で入社したら半年ほど工場でOJTや研修を行い、2年目くらいからは自分が企画した商品を担当するのが一般的なキャリアパスとして定着しています。実は若いうちから自分の企画した商品を持つことで、自由な発想やアイデアをもとにした商品が生まれやすいメリットがあるんです。  長く経験を積んでくると『このフレーバーでは売れない』、『商品開発が難航しそう』などの固定概念にとらわれがちになり、なかなか挑戦をしなくなってしまう。一方、若いうちは経験がないからこそ、たとえ斬新なアイデアだったとしても『これは面白そう』と思えば、商品開発に踏み切ることができる。こうした社内文化が醸成されているからこそ、年間100種類以上の新商品を出すことが可能になっています」

「アイデア1000本ノック」を行い、徹底的に発想力を鍛える

ガリガリ君リッチコーンポタージュ

アイデア1000本ノックを経験した岡本さんは、2012年に「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」の商品開発を担当。予想外のフレーバーが話題となり、SNSを中心に大反響を得たという

 その一方で、自社商品やPB(プライベートブランド商品)など、年間にさまざまな商品を開発しなければならない状況のなか、企画やアイデアはどのように着想しているのだろうか。  岡本さんは「商品企画に関しては、若いうちから“アイデア1000本ノック”と銘打って、ひたすらアイデアを出す訓練をしている」とし、次のように説明する。 「商品企画に携わる社員は、1年間に1000本のアイデアを考えるという企画力を鍛える取り組みがあります。アイスのフレーバーでも形状でもネーミングでも、とにかく何でもいいのでアイデアを思いつく限り出していくんです。  ただ、300個くらいまではアイデアを出せるものの、そこから先は自分の頭の中だけでは出てこなくなる。そこで、お店に足を運んだりSNSをチェックしたりし、アンテナを張り巡らせることで、新たなアイデアの発案につながってくるわけです。こうした訓練があるからこそ、アイデアの企画力や発想力が鍛えられ、例えば皆さんがコンビニなどで目にする新商品は、1年間52週にわたる各週に向けて開発が進められていますが、このような新商品の開発にも役立つわけです」
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コロナ禍でニーズが高まった箱入りアイス
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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