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「ガリガリ君」異色フレーバーはなぜ生まれる?コンポタ味担当者が語る開発秘話

コロナ禍でニーズが高まった箱入りアイス

ガツン、とみかん

1998年に発売した「ガツン、とみかん」の箱入りタイプ

 コロナ禍では在宅ワークやリモートワークが常態化し、巣篭もり需要が増えた。  このようにライフスタイルや消費志向が多様化するなか、アイスの消費量やトレンドはどのような変化が見られたのか。  岡本さんは「家でアイスを食べる機会が増え、箱物タイプの商品がコロナ前と比べて売れるようになった」と語る。 「今年は変わるかもしれませんが、コロナでアイスを外で食べるシーンが減ったことで、大入りの箱入りアイスを購入するお客様が増えたと感じています。アイスのトレンドに関しては、2015年から冬アイスが流行り、その後はチョコミントやピスタチオがブームになっていましたが、最近の春夏はパインフレーバーが伸びており、注目しています」

素材本来の味や食感を楽しめるアイスがトレンドに

かじるバターアイス

2021年2月に発売した「かじるバターアイス」。まるでバターをそのまま食べているような見た目・味が、SNSで話題となった。こうした商品を今後も開発していく予定だという

 また、赤城乳業が行なった消費者調査によれば「アイスの方がお菓子よりも気軽に食べやすい」という印象を持つ人が多かったという。 「直近のアイスは『チョコ味ではなく、本物のチョコを使う』といった素材そのものを楽しめる商品が求められていると思っています。要は、お菓子のチョコを毎日食べるのは少し気が引けるけど、アイスならまだ食べられるといったニーズが顕在化したと捉えています。コロナ禍でも販売好調な『ガツン、とみかん』は、まさにみかん果肉をアイスキャンディーの中に加えた商品で、今後もこのようなトレンドが続くのではと考えています」  これからも値段以上の価値を出せるよう、さまざまな商品を開発していきたいと意気込む岡本さん。  最後に今後の展望について伺った。 「当社の主力商品であるガリガリ君に関しては、2013年に過去最高の4億7500万本を売り上げましたが、さらなる目標として5億本を超えられるように努めていきたいと思っています。また、会社としては順調に成長していて、2021年度は過去最高の484億円の売り上げでしたが、まだまだアイス業界では中堅のポジションだと思っています。もっと上位に込めるように売り上げシェアの高いコンビニ以外にも、スーパーなどの小売店でのシェアを拡大できるよう、ガリガリ君に次ぐ新ブランドも育てていきたい」 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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