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安倍氏殺害の山上容疑者「精神鑑定で4か月も留置」は口封じの政治的拘束か

山上容疑者に手紙を送ったが…

安倍さん演説 野田氏は、山上容疑者の身の安全を心配しているという。 「獄中でシャツを使って首を吊ることもあり得る。日本では、非人間的な房内での処遇の問題もある。脱獄・自殺の恐れがあるとして保護房などに拘禁される恐れもある。彼が死なないように祈る。ジャーナリズムは監視しなければならない」  野田氏は「鑑定でひどいことにならないよう、伯父を通じて助言したい」と申し出ている。筆者は7月19日、伯父に「報道被害の救済などで支援したい」と申し入れた手紙を送っている。  さらに筆者は7月13日、奈良西署気付で山上容疑者にハガキを送ったが、「受け取り拒否」で返送されてきた。受け取りを拒否したのは山上容疑者ではなく、奈良西署のほうだろうと推測する。  野田氏は「マスコミ各社は1980年代から、統一協会にたびたび激しい電話やファクスの抗議を受けてたいへんな目に遭ってきたことを忘れたような顔をしている。私は大学で新入生に統一教会の勧誘の手口を教えて、警戒するよう指導していた。悪質な新興宗教のお金の集め方のオリジンは統一教会だと知っているはずなのに報道してこなかった。全国で多くの人が被害に遭い、生活破綻しているのに、マスコミは書かない。取材チームを出して番組をつくるべきだ」と述べた。

容疑者の母親が、どういうやり方で騙されたのかを解明すべき

 容疑者の伯父は8月1日、テレビ大阪の単独インタビューに応じた。山上容疑者の担当弁護士から伯父に連絡が入り、山上容疑者は「伯父や妹に申し訳ない」と話していると報じられた。事件後から伯父の家に身を寄せている容疑者の母親の様子については、「母親の部屋の床には、旧統一教会のバイブルと見られる分厚い書籍が何冊か並べられていて、いまも教会の教えを学んでいる様子」だという。  伯父によると、山上容疑者のために現金など差し入れをする動きが全国からあり、かなりの金額になっているという。伯父は事件後、旧統一教会と政治家との繋がりが次々と明らかになっている点について聞かれ、「まだ表に出ていないお金の流れを明らかにしてほしい、と話した」(いずれもテレビ大阪の報道)。  野田氏は「山上容疑者の母親が、どういうやり方で騙されたかを解明すべきだ」と言う。同氏は著書『泡だつ妄想共同体―宗教精神病理学からみた日本人の信仰心』(春秋社・1993年)の「霊感商法と現代人の心」と題した章で、統一協会が信者を獲得する巧妙な手口を明らかにしている。  野田氏は「テレビは統一協会と政治家の関係などを報じているが、なぜ大学生ら若者が統一協会に入るのか、はまるのかを報道すべきだ。ビデオを使って集団で眠らせないようにして、人を落とす時の卑劣な手口を伝えて、騙されないように注意喚起すべきだ」と提言する。  野田氏も「1980年代は、ずっと統一協会に脅されてきた」と話す。「私のいない時に、妻や子どもを脅した。いつもの手口だ。マスコミもやられている。各大学には、正体を隠したサークルが一つか二つあり、紛らしい名前の大学新聞も出している。大学教授の時代は、学生に対し、統一協会に気をつけるよう指導した」
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容疑者に公正な捜査と裁判を
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1948年生まれ、ジャーナリスト。元共同通信記者、元同志社大学教授。『犯罪報道の犯罪』ほか著書多数
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