──最近は、以前より人見知りがなくなってきたと聞きました。元SKE48の高柳明音さんとのYouTubeコラボ動画を見ましたが、高柳さんのほうが緊張していたような。後藤さんのほうが、優しくリードしている印象でした。 後藤：ちゅんちゅん（高柳明音さんのニックネーム）ね！ ちゅんちゅんもそうなんですけど、同じ事務所のlol（エルオーエル）というグループの子たちを見ても、みんな「こどもたち」みたいに見えるんですよ。
──えっ、高柳さんもlolのみなさんも、もう結構大人だと思うんですが……（笑）。 後藤：いや、私から見たらもうみんなかわいいこどもたちですよ！ 20代の頃だったら、初めて会うタレントさんや歌手の方に対しては、そんなに話したりもせず、でもちょっと気になる……くらいの距離感だったと思うんですけど。 いまとなっては、ちゅんちゅんもlolの子たちも、会うと「クッキー食べなさい！」とか「これ持って帰りな！」とか声をかけて、お母さんみたいになっちゃう（笑）。 ──近所のこどもみたいな感じですね。でも、高柳さんやlolさんからしたら、後藤さんって大先輩じゃないですか。先輩がそうやって接してくれたら、後輩はめっちゃ嬉しいですよね。 後藤：ほんと、可愛い子たちですよ。 ──ここまで後藤さんの色々な活動や考えていることのお話を聞いてきたんですが、本当に多様な活動をしていますよね。しかも「自分のやりたいこと」を軸にしているように感じました。他人の目を気にしてしまう人って結構多いと思うんですが、後藤さんはそういう悩みはありますか。 後藤：何かで見たんですが、メンタルが強い人と弱い人の差って「自分基準で物事をやるか、他人の目基準でやるか」なんですって。人の目を気にする人って、例えば一人で焼肉屋さんに行くとなったら「あの人一人で来てる」って見られないか気にするじゃないですか。 そうすると、美味しい焼肉を食べていてもストレスが溜まるんですよ。だから、いつも前向きな自分を基準にして、自分で自分のことを見て褒めてあげて、自分で評価する。 ──それを、ずっと昔からやってるんですか。 後藤：メンタルについて色々調べていたときにその説を見かけて「ああ、自分はこうやって生きてきたんだな」と思いました。多分、無意識に。 ──人の目を気にしても、人気の上がり下がりってコントロールできないですもんね。 後藤：できないですよ！ だって、CDの売り上げだってコントロールできないんですから。 ──人気や売り上げ以上に、常に自分基準を意識すると。 後藤：私、食べる欲、寝る欲……そういう欲が強いから、仕事中やオーディション中、ライブ中でも、眠くなったらちょっとの時間でも寝る。お腹がすいたら、ちょっとの隙間を見つけてご飯を食べる。怒られてても、お腹がすいているからご飯のことを考えていることもありました（笑）。 ──大切にしていることが「欲」としてはっきり表れていると。 後藤：ふふふ、そうなんです。芸能活動も「CD売り上げ何枚」とか「トップアイドルとして見られる」とかよりも、常に「勝ちたい」という欲で動いています。 ──何に勝ちたいんでしょうか。 後藤：例えば、モーニングでライブをやっていたら、自分の中の基準で「今日一番になる」という意味で勝ちたい。その時々で自分の「勝ち」の基準があって、「これができたら勝ちだ」と自分で自分を認められるんです。 ──勝っていくのが楽しいというか、快感がありますか。 後藤：勝てる試合なら楽しいですよ。だけど、勝てない試合だと感じたら、そこをどうやって勝つか考えている時間が不安すぎて。人からどう見られているか気にしていないからこそ、常に自分との戦いです。 【プロフィール】 後藤真希 1985年9月23日、東京都生まれ。1999年、13歳のときにモーニング娘。に3期メンバーとして加入。デビュー曲の『LOVEマシーン』以降数多くのヒット曲に参加し、同グループを2002年に卒業。その後、ソロアーティストとして活動。現在はエイベックス・マネジメントに所属し、歌手活動の他、自身のYouTubeチャンネル「ゴマキのギルド」や「ゴマキとオウキ☆」では「歌ってみた」動画やゲーム実況動画、vlogなどを配信している。2022年9月10日からは「後藤真希 LIVE TOUR 2022 『歌ってみた~Songs of You and Me！~』」を開催し、大阪、愛知、東京にてライブをおこなう。 撮影／石垣星児　取材・文／むらたえりか　編集／森ユースケ