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里見香奈、プロ棋士との特訓で「将棋が自由に」。史上初の“女性棋士”誕生なるか

初の“女性プロ棋士”誕生なるか

里見香奈将棋ファンにとっていま最注目のトピックスが「史上初の“女性プロ棋士”が誕生するか」であることは論を待たない。女流棋士として初のプロ編入試験に挑む里見香奈女流五冠(清麗・女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花)のプロ編入試験の第1局が本日8月18日より行われる。 通常、プロ棋士になるためには、奨励会を勝ち抜き、年齢制限までに「四段」に昇段することが前提条件となる。これまで多くの女性が奨励会に入り棋士への道を目指したが、里見は三段まで昇段したものの四段昇段は叶わずに奨励会を退会。今回のプロ編入試験は、アマチュアや女流棋士が公式戦で棋士と対局し「10勝以上、6割5分以上の勝率」を満たせば受験できる。里見は5月27日に行われた棋王戦で古森悠太五段に勝ち、直近成績10勝4敗で受験資格を取得することとなった。 その切れ味の鋭い終盤力から“出雲のイナズマ”のキャッチフレーズを引っさげ、中学生で女流棋士になった里見が世に出て20年近くが経つ。押しも押されぬ女流棋界の第一人者として活躍しているなかでの近年の勝ちっぷりの凄まじさに、「ここにきて、強さの質が変わったのでは?」とする向きは多い。ライターの岡部敬史さん、漫画家のさくらはな。さんの2人がプロ棋士の高野秀行六段になんでも聞きまくる新刊『あの棋士はどれだけすごいの?会議』に、里見香奈の近年の強さについて論じている箇所がある。本書の一部を抜粋する。

この10年の将棋界でいちばん変わったのは“女流棋士の実力”

岡部 女流の先生方、年々とても強くなっていますよね。 高野 そう!実はこの10年の将棋界でいちばん変わったことは、女流棋士の実力じゃないかと思うんですよ。 さくら 10年前とは、全然ちがう? 高野 全然ちがいます。10年前とは、まったくちがう世界。里見さん(香奈女流五冠)も西山さん(朋佳女流二冠)も、奨励会の三段リーグを突破できなかったけど、あれからもっと強くなっている。 岡部 男性の棋士にも勝っていますよね。 高野 そうでしょ。それこそ10年ほど前だと、公式戦で棋士が女流棋士に負けるのはちょっと……という空気がありましたもん。 さくら 今は? 高野 今は全力でやって普通に負けてますからね(笑)。特に里見さんは、5月に女流棋士として初めて、8大タイトルで予選を勝ち抜いて棋王戦本戦の切符を手にしました。またこの将棋で「プロ編入試験」への受験資格を獲得したんです。 さくら 「プロ編入試験」の受験資格はどんなものなのですか? 高野 プロ公式戦において、最も良いところからみて10勝以上、6割5分以上の成績を収めることが条件です。 岡部 それって、厳しくないですか? 高野 めちゃくちゃ、厳しいです。里見さんは「10勝4敗」でクリアーしたのですが、勝った相手がまたすごい。黒田尭之五段、本田奎五段に王位戦で挑戦者決定戦まで進んだ池永天志五段。そして関西若手屈指の実力者・澤田真吾七段ですから本当にすごい!棋王戦本線入りを決めた古森悠太五段の一戦も、中盤抜け出したあと一気に差を広げての快勝でした。
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強さの秘訣の一つは「将棋が自由になった」
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あの棋士はどれだけすごいの?会議

気になるギモンにプロ棋士が明朗回答

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