更新日:2022年11月30日 17:58
エンタメ

迷惑YouTuberに「勝手に自分を撮られた」場合、法律で対抗できるか

弁護士の法律的な見解

法律 YouTubeやライブ配信に関するトラブル、インターネット上の書き込みにまつわる損害賠償請求などに対応する弁護士の松本氏が言う。 「無断で動画撮影をされた場合、撮影された側として受けるデメリットは、一般的には①自分の容姿を外部に拡散されること、②私生活の状況を公にされること。また、企画内容次第では③個人の名誉を害されることにもなります。たとえば、『街の変人に声をかけてみた!』などの企画でライブ配信や動画を撮影されたケースですね。  法律上、①は最高裁判所の判例で『承諾なしにみだりにその容ぼう・容姿を撮影されない自由を有する』と認められており、呼び方には諸説ありますが、一般的に“肖像権”と呼ばれ、憲法上保護された権利の侵害行為です。②も法律上の定義には諸説ありますが、一般的に“プライバシー権”として憲法上保護されている権利の侵害行為となります。  ③については、刑法230条により、3年以下もしくは禁錮または50万円以下の罰金の刑罰が科される“名誉棄損罪”が成立する行為になります」  とはいえ、YouTuberやライブ配信者に「法律違反になる恐れがある行為」という認識はないはずだ。

警察に通報するだけではなく…

パトカー・赤色灯 撮影されてしまった被害者は、突然の出来事に頭が真っ白になってしまうだろう。そんななかで、どのように対処すればいいのだろうか。 「結論から言えば、①名誉棄損の可能性があるとして警察を呼ぶ②加害者の身分証の写真を撮るなど、氏名・住所などの個人情報を抑えるという対応が正解だと思います。  ただし、肖像権やプライバシー権については、残念ながら刑罰が科せられる規定はありません。東京都・福岡県など地方自治体が独自に定める迷惑防止条例も、あくまで下着など衣服により隠れている部分の撮影を禁止するという内容です。  過去、下級裁判所の裁判例において、ジーンズをはいた女性に数百メートル付きまとい、臀部の動画を撮影したという事例が迷惑防止条例違反か争われたりしました。ですが、性的な自由にかかわる場面でなければ、無断撮影が刑罰に問われることは、ほぼないと言っていいでしょう。そのため、民事上の損害賠償請求を行うことで対処するしかありません。  他方、名誉棄損については、民事上の損害賠償請求と同様、無断撮影の時点で判断はつきにくいのですが、刑事告訴を行うという対処が考えられます」
次のページ
相手の身分証を抑えるなどの「加害者の特定」が必要
1
2
3
4
5
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ