「転職を怖がる人」の心を縛る“ちっぽけな自尊心”という呪い/猫山課長
note作家の猫山課長と申します。金融機関で課長をしながら、ネットでは働き方やキャリアに関する執筆活動を行い、ありがたいことにSNSなどで多くの反響をいただいています。
今回のテーマは「転職」です。SNSでは転職に関してポジティブな人とネガティブな人がいて、両者の意見には大きな分断が見られます。「何かその差を生んでいるのか」について、考えてみます。
もし「あなたの給料は今後上がっていくと思いますか?」と質問されたら、あなたは何と答えますか?「もちろん上がっていく」と、答えられるでしょうか。
今の現役世代は給料がうなぎ登りに上がっていく経験をしていません。日本人の所得水準は過去30年間で上昇カーブを描くことはなく、低位で推移してきました。
日本は、30年間給料が上がっていない国なのです。
まさに「失われた平成」と表現されるのも仕方ない状況ですが、もうそれが当たり前になっている。みんな「そんなもんだ」と諦めてしまっているのが現状でしょう。もう給料が上がっていく世界を想像することすらできなくなってしまいました。
上がらない給料でも生きていけたのはデフレの恩恵が大きいです。所得が増えなくても生きていけたのは物価が上がらなかったからであり、日本が全体的に「安い国」になってくれたおかげです。
しかし、そんな時代も終わりに近づいてきました。所得増なき物価上昇が目の前まできています。10月17日の衆議院予算委員会で日銀の黒田総裁が「エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、本年末にかけて上昇率を高める可能性が高い」と発言するなど、物価の上昇は避けられない様相を呈してきました。
物価の上昇はあなたの家計を直撃するでしょう。加えて給料が増える見込みは薄いとなれば、これまでと同じ生活をしていてはジリ貧になるのは明白です。特段の贅沢もしていないのに、毎月の家計が赤字に振れていく。これは直面するとかなりの恐怖です。
もうそろそろ、収入を上げるべく動かないとヤバイ頃合いです。もし、あなたがJTC(日本の伝統的大企業:Japanese Traditional Company)に勤務しているなら、そこまで焦る必要はないかもしれません。でもそうでなかったら、少々焦ったほうがいい。
普通の会社員が、能動的に収入を増やさなければならない時代が来てしまいました。
日本人の所得水準は30年間横ばい
「デフレのおかげで生きられた」時代の終わり
金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager)
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