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性被害を受けた元自衛官が“女性の先輩に言われたこと”。悪しき伝統をなくすためには

自衛隊の離職率は極めて高い。研修終了後10年以内に50%程度が辞め、定年退職まで残るのは、同期のうち4割程度ともいわれている。私たち国民を守ってくれるはずの組織が、なぜそんな状況になってしまうのだろうか。

「謝罪を受けたときは涙が出ました」

自衛隊

宮城県東松島市出身。’20年4月に陸上自衛隊に入隊するも、複数の男性隊員から受けた性暴力により退官。防衛省・自衛隊に対し実名で告発することを決意した

任務中、複数の男性隊員から性被害を受けた元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが、10月17日、加害者から直接の謝罪を受けた。 実名で顔を出し、被害を訴え続けた1年半。孤独な闘いに、ようやく“区切り”がついた形となった。その会見で五ノ井さんはこう話した。 「謝罪を受けたときは涙が出ました。これまで本当に数えきれないほど辛いことや悲しいこと、悔しいことがあったので。真実と謝罪だけを求め、自分だけを信じて闘ってきたことが報われて良かったです」

“悪しき伝統”がなくならない理由

それを踏まえ、五ノ井さんはハラスメントをいまだに生んでいる自衛隊内の環境をリセットすべきだと力説する。 「女性の先輩に言われたことで覚えているのが『これでも優しいほうだよ』という言葉。昔はもっとひどかったらしいんですね。もちろんハラスメントに関する授業はあるんですが、教官が教科書をサッと読み上げて終わり。いまにも寝そうで話を聞いてない人もいました。だからこそ、“悪しき伝統”のようなものが、当たり前のように残ってしまっているのだと思います」
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「『即解雇』くらい厳しくしないと、意識は変わらない」
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