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自分を捨てた親を介護する45歳芸人の壮絶な生活。「“まともだった頃の父”ともっと話がしたかった」

 ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で、ある芸人が認知症の父との壮絶な関係をさらけ出した。その男とはゲーム芸人のフジタさん(45歳)。幼少期の体験と現在の生活が「つらすぎる」と話題になった。  面倒を見てくれた親を今度は自分が面倒を見る。“当たり前の恩返し”のように思えるけれど、それはある日、突然やって来るのだ。親が認知症になったら何が待ち受けているのか。変わりゆく姿から目を背けずにいられるのか。認知症の親と暮らすフジタさんの壮絶な「介護の現場」を追う。

自分を捨てた親を介護する理由

認知症の親

ゲーム芸人・フジタさん

「小学校に上がる直前に母が死んだあと、父は僕の同級生の親でシングルマザーのAさんの家に入り浸るようになった。週末に帰ってきて3万円を置いたらまたあっちの家に戻る。小1から一人暮らしで、父はもはや“同級生のお父さん”でした」(フジタさん)  同級生を可愛がる父から理不尽にも手を上げられる。それでも、もらったお金でゲームを買い込んで孤独を紛らわせた。そして現在、80歳を超える父とAさんの関係は40年たっても続いているのだ。

「お金なんて、もうなかったんですよ」

「去年、5年ぶりに父と会って、遺産相続の話を持ちかけられたんです。でもそれからが地獄だった。今年に入って父がアルツハイマー型の認知症を発症して、100万円を超える借金も発覚した。  しかもずっとAさんに、毎月一度か二度、3万円を渡し続けている。数千万円あったはずの貯蓄も、いつのまにか消えていました。お金なんて、もうなかったんですよ」  フジタさんは怒りのぶつけ先もなく、うなだれるしかなかった。
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お金に執着する父と愛人。引き離したら父は死ぬ
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