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自分を捨てた親を介護する45歳芸人の壮絶な生活。「“まともだった頃の父”ともっと話がしたかった」

お金に執着する父と愛人。引き離したら父は死ぬ

認知症の親

毎日何度も見守りカメラで父(左)の様子を確認し、現在も週に一度は家に顔を出しているフジタさん

「父は、年金を管理する僕を泥棒呼ばわりし、Aさんには『息子は働かず自分のお金をあてにしている』と噓を吹き込んでいたんです」  その様子は、一人暮らしの父を心配して設置した見守りカメラにはっきりと録画されていた。 「最悪ですよ。こっちは仕事を休んで、週に3日も父の家の家事をしたり様子を見に行っていたりしたのに。内縁関係といっても父とAさんとは別々に暮らしていて、彼女は月に数回掃除に来る程度です。あとは、作り置きの冷凍食品を渡して終わり。飯を食ってお金をもらうパパ活みたいなものですよ。  もし愛情があれば、父に小便の臭いのするゴミ屋敷で飯を食わせるようなことはしないはずです」

“まともだった頃の父”ともっと話がしたかった

認知症の親

一本50万円ほどの高額なゲームも多数。机に並べただけでも、総額500万円を超える。しかし、「父親の介護のためにゲームは売りたくない」

 父を介護施設へ入所させることは考えていないのだろうか。 「本人が嫌がるし、Aさんも自分のもらうお金が途切れるのが嫌だから、二人そろって抵抗してくる。きっと僕がもらえるはずだった愛情もお金も全部、内縁の妻やその家族に流れたんでしょうね」  それでも、父を見捨てない理由とはいったい……? 「遺産の話をされたときに、『これまで悪かった、すまなかった』って謝られたんです。たったひと言なんだけど、なんか許せた。でも欲を言えば“まともだった頃の父”ともっと話がしたかった。今は認知症のせいでろくに会話ができない。  僕が無理にAさんと父の関係を断つこともできるけど、それをしたら父はきっと死ぬ。それくらい父の中でAさんは絶対的な存在。本当にバカでどうしようもない親です。この先どうなるのか……考えないようにしています」 【ゲーム芸人・フジタさん】 4万本を超えるゲームを収集し、特にレトロゲームに造詣が深い。YouTube「Channel fujita」を積極的に更新。著書に『ファミコンに育てられた男』 取材・文/週刊SPA!編集部
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