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海外就職で挫折を味わった女性。コンプレックスを強みに、タイのパタヤで見出した光

挫折を経験、就職先で語学力がまったく通用しない…

タイ・バンコク

タイ・バンコク(Photo by Adobe Stock)

 そんな石井さんだが、無事にバンコクの有名ホテルで内定を獲得。タイにおける日本人向けのホテルの求人が少ない中、履歴書を直接持っていった行動力を買われたのだ。  しかし、実際に働いてみると現実は甘くなかった。 「タイのロイヤルファミリーや外交官などが泊まるホテルだったのですが、私の語学レベルではまったく通用しなかったんです。語学学校ではトップクラスの成績だったので、自分に期待していた部分が大きかったのかもしれません。  じつは、ホテルで働こうと思ったのは“母のホテルを継ぎたい”という思いがあったからです。ただ、自分にはまだ早かった……挫折を味わいましたね」

ライバルのいないパタヤに目をつけた

パタヤ

パタヤ(Photo by Adobe Stock)

 とはいえ、石井さんはすぐに「何かできることから始めよう」と切り替えた。一念発起して起業しようとしたが、バンコクにはすでに多くの日本人が進出しているためライバルも多かった。そこで考えたのが、実家から近いパタヤだった。 「私自身、住むまで知らなかったのですが、パタヤには日本から赴任してくるビジネスマンが多く住んでいるんです。  そのなかには家族連れも少なくありません。しかし、子供に習い事で語学を学ばせようと思ってもパタヤには日本人向けの学校がないことがわかりました。車で30分はかかるシラチャという街まで通っていることを知り、パタヤで語学学校をできないかと考えたんです」  世界的な歓楽街として有名なパタヤには日本人観光客も多く訪れるため、日本語を勉強したいと思っている飲み屋の女の子も多い。そこに目をつけた石井さんは、すでにバンコクにあった語学学校「TLS」の分校として、2016年にTLSパタヤを開校させた。
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生徒は駐在員から早期退職者まで
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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