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海外就職で挫折を味わった女性。コンプレックスを強みに、タイのパタヤで見出した光

窮地を救ったオンラインレッスン

石井エリ 今年で開校して7年目となるTLSパタヤ校だが、コロナ禍ではどのような苦労があったのだろうか。 「タイでは長い間、非常事態宣言下にあり、教育機関が1年間オープンできませんでした。初めは講師たちを自宅待機にしていたのですが、いつ再開できるのかわからず、お給料も払えませんでした。日本からの駐在員もほとんど帰国してしまい、生徒もほとんど辞めてしまいました」  コロナ禍の収束が見えない状況で学校を一度、完全に閉鎖することを決めたという。講師のほとんどは田舎に帰ってしまい、そこで「1人で何かできないか」と始めたのがSNSでのオンラインレッスンだった。 「それまで、SNSはタイの生活くらいしか発信していなかったのですが、レッスンの様子を投稿したら、フォロワーやアクセス数が増えたんです。まずは私1人でレッスンを行い、オンラインのシステムができてから講師たちにもお願いして続けてもらったら、コロナ前よりも売上が伸びていったんです。最初は、半年くらいでオンラインレッスンをやめるつもりでしたが、SNSが日本のテレビ局の目に触れて声を掛けていただきました」

海外の刺激的な文化をシェアしていきたい

 テレビ番組「マツコ会議」(日本テレビ系)に出演したことにより、SNSのフォロワー数はさらに増えていった。現在は「日本の文化をタイの人に伝えたい」を理念に、タイに住む日本人向けマーケティングのインフルエンサーとして活躍する石井さん。  現在は語学学校のほか、和菓子屋の共同経営、起業系YouTuber、リポーターなど、幅広い活動を行っている。2021年には日本人男性と結婚、出産。一児の母となったのだが、今後のビジネスにおいて展望などはあるのだろうか。 「今は、YouTubeを通してタイの良さを伝えていきたいと思っています。ローカルな市場や日本人があまり訪れないような場所を、在住日本人や日本人旅行者がより安心してタイに来たくなるように紹介していきたいです。  また、夫が商社勤務なので今後はタイ以外の国に転勤になる可能性があるかもしれません。そのときは、タイをベースに他の国でも語学学校をやっていくのもよいかなと思っています。旅行も語学も好きなので、ビジネスとしてそれをずっと続けていきたいですし、海外の刺激的な文化を子供にもシェアしていければと思ってます」  当初はコンプレックスだったタイ人とのハーフという境遇を強みに変えて、パタヤでビジネスチャンスを見出した石井さん。今後の活動にも注目である。 【石井エリ】 2014年にタイ移住、パタヤで語学学校経営。 日本とタイの架け橋になりたい!という想いから和菓子屋の共同経営、在タイ日本人向けインフルエンサー、YouTube「タイ駐在チャンネル」「ぷくこチャンネル」等でリポーターを務めるなど幅広く活動中。2020年、2021年と日テレ「マツコ会議」にも出演。 <取材・文・撮影/カワノアユミ>
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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