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まだクリスマスは終わらない! 海外の年末年始「年越しの鐘の音」に合わせてブドウを食べる国は…

スペインでは12粒のブドウを食べながら年を越す

ブドウ

特に高級なブドウではなくこんなブドウを食べます

 とはいえ、スペインにも新年を迎える国民的習慣があるのです。それは、大晦日の夜に家族や親しい友人と夕食を食べた後、12時、すなわち元旦の午前0時を知らせる12回の鐘の音に合わせて12粒のブドウを食べること!  市庁舎など時計塔のある広場ではカウントダウンイベントが催されますが、特に有名なのはマドリードの中心にあるプエルタ・デル・ソル広場で、身動きできないほどの人が集まります。『ゆく年くる年』的な年越し番組の中継が入り、実に多くの家庭でテレビ越しに広場にあるマドリード自治州政府庁舎の時計塔の鐘に合わせ12粒のブドウを食べ、新年の幸運を願うのです。  ちなみに鐘が12回なるのに要する時間は約30秒。30秒で12粒を食べるのは意外と難しいため、あらかじめ皮をむき、種ありの場合は種をとってスタンバイするのがお約束。年末限定で、皮をむいた12粒のブドウが入った缶詰も売り出されます。

年越しは厳かではなく盛大に祝うのがスペイン流

バレンシア

新年を祝う花火があがるバレンシアの市役所広場<(C)VisitValencia>

 ブドウを食べ終えたらスペイン産スパークリングワインで「Feliz Año!!(スペイン語で新年おめでとうの意味)」と乾杯!! カウントダウンをする広場では盛大に花火が上がります。除夜の鐘で厳かに新年を迎える日本とは違い、パーッと派手な幕開けです。  ところで、いつ頃から、そしてなぜ12粒のブドウを食べるようになったのでしょう?  実はこの習慣は19世紀末に始まり20世紀初頭に広まった比較的新しいものです。起源には諸説あり、フランス人がシャンパンで年明けを祝う時にブドウをつまむのをスペインの富裕層が真似たのが始まりで、その後ワイン生産者があまったブドウを大量に売るために考案したなどと言われています。12粒なのは鐘が12回なること以外に、1年は12か月あるからだそうです。
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新年の幸運を呼ぶ赤い下着
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2002年よりスペイン在住。ライター、コーディネーターのほかオリ―ブオイル専門家として活動中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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