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まだクリスマスは終わらない! 海外の年末年始「年越しの鐘の音」に合わせてブドウを食べる国は…

新年の幸運を呼ぶ赤い下着

ランジェリーショップ

年末のランジェリーショップのウィンドーは赤色に染まる

 また、12粒のブドウほどメジャーではないものの、年越しの時に赤い下着をつけていると幸運が舞い込むというジンクスもあります。この由来は12粒のブドウよりうんと古く、中世にさかのぼります。当時、赤は魔女や悪い気を表す色で、教会は赤い服を着ることを禁じていました。その後赤色はラッキーカラーとされる風潮になったものの、相変わらず禁止されたままだったため、外から見えないようにこっそりと赤い下着を着用して幸運祈願したのだとか。  ランジェリーショップのウィンドーに赤い下着がディスプレイされるのは、大晦日前の風物詩です。これは女性に限った習慣ではないので、赤いトランクスやブリーフが飾られていることもあります。  そして単にお祭り気分を盛り上げるために、年越しにはカツラやメガネ、アイマスク、付け髭などの仮装グッズや三角帽子をつける人も。大晦日が近づくと、スーパーのレジ前に1ユーロ(約145円)のパーティーパックが並ぶので、使う人は多いのでしょう。

普段の日曜日とさほど変わらないスペインの元旦

ロスコン・デ・レジェス

クリスマス期間の終わりに食べるロスコン・デ・レジェス

 大晦日は12粒のブドウを食べるために誰もが夜更かしをし、その後も朝まで飲んだり踊ったりする人がいるので、元旦の過ごし方は比較的のんびりしています。普段の日曜日とさほど変わりはありません。特にお正月料理といったものもなく、翌2日にはお役所や銀行、商店などの営業が始まり、どこもクリスマスのデコレーションのままなので、日本人は「お正月だという実感がない」と口を揃えます。  日本のお正月の習慣と比べてみると、まず廃れつつありますがクリスマスカードがあるので年賀状は存在しません。お年玉の代わりはクリスマスプレゼントで、多くの子どもは前述したように2回もらうようになりました。日本では凧揚げや羽根つき、かるたなどお正月の遊びがありますが、スペインには特にそういった遊びもなし(筆者の住むバレンシアでは、凧揚げは春先の遊びです)。クリスマス期間中なので、お正月の飾りもありません。「お正月はどこ?」といった感じですね。強いて言えば、25日のクリスマス以降、別れ際の挨拶が「よいお年を」になる点が日本と同じです。  特にお正月料理はないと書きましたが、1月5日から6日かけてほぼ全家庭で食べるお菓子があります。ロスコン・デ・レジェスとよばれる大きなドーナツ状の菓子パンで、レジェスというのは東方の三賢王を指します。中には小さな人形と乾燥ソラマメが隠されていて、人形が当たった人はその日は王様になれ、ソラマメが当たるとこの菓子パン代を払わなければいけません。これを食べると長いお祭り期間が終わることを感じます。
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2002年よりスペイン在住。ライター、コーディネーターのほかオリ―ブオイル専門家として活動中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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