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52歳サラリーマンが南極の越冬隊員に。氷点下40度超でも「不安はないですね」

吠える40度、氷山…初めて味わう大自然に直面

熊倉聡泰

しらせの船上で撮影(写真提供:国立極地研究所)

――11月に出航されてから、南極に到着するまで、1か月以上の航海をされました。南極観測船・しらせに乗った感想はいかがですか? 熊倉:初日は特に普通に生活が出来て合宿生活のようだなと思ってましたが、2日目あたりにお風呂が海水風呂になっていて。知らなくて顔を洗ったら、しょっぱくて目が凄くしみて、「しらせに乗っているんだな」と実感した瞬間でした。 ――船酔いなど、苦労されたことについて教えてください。 熊倉:船の揺れは思ったより揺れないなと感じましたが、「吠える40度」(編集部注:南緯40度から50度にかける海域の俗称)を超えて、波高7m、最大傾斜30度の状況では、食事するにも食器が飛んでいってしまったりで食事も難しく、艦内も体を斜めにして歩かないと、真直ぐに歩けなかったです。また、ネットにほとんど繋がることができないので、何の作業をするにしても調べることが出来ず、ネット依存を実感しました。 ――船上から見た初めての景色、自然にどんな感想を持たれましたか? 熊倉:氷山は初めて見ましたが、青色の濃さに驚くのと同時に、こんなに大きいのが融けずに流れてくるのには感動しました。オーロラは船上から肉眼でうっすらとしか見えなくて、カメラで撮影した方がはっきりと確認が出来ましたね。

平均気温マイナス20℃の冬期間に突入

南極 しらせ

写真提供:国立極地研究所

南極 しらせ

写真提供:国立極地研究所

――無事、南極昭和基地に到着されて、日々の任務に従事されています。南極での暮らしについて教えてください。 熊倉:毎朝6時に起床して7時には朝食をとります。午前と午後にそれぞれ4〜5時間作業して夕食後にミーティングというのが毎日の主な業務で、お風呂などの自由時間ののちに23時頃には就寝します。12月から1月までの夏期間は白夜で、風のない時や晴れの日はさほど寒くはないですが、風が吹いたり曇りになると急に寒くなりました。2月に入り白夜期間が終わると、日陰や夕方の時分には急に気温が下がってくる感じです。隊員は宿舎で共同生活になりますが、水の作る量に制限があるので使いすぎたりするとお風呂に入れなくなったりします。 ――寒い中での任務、お疲れ様です。冬期間の意気込みについて教えてください。 熊倉:まずは怪我なく、自分に与えられたミッションを達成することです。その中で越冬隊の仲間たちと楽しく南極生活を過ごしたいと思います。  熊倉さんが所在する南極・昭和基地は、東南極のリュツォ・ホルム湾東岸の大陸から4kmほど離れた東オングル島上にあり、冬期の気温は平均で約マイナス20℃、最低気温はマイナス40℃を超えることもある。持ち前の体力とガッツで、無事に任務を全うすることを願ってやまない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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