更新日:2023年02月18日 10:15
仕事

専業主婦が子連れで海外移住。苦難の連続、現地でパラレルキャリアを実現するまで

未来を見据えた仕事がしたくて転職

路面電車

ウィーン市内を走る路面電車(Photo by Adobe Stock)

 順調にステップアップしてきたみずもさんだが、次第に“もっとサステナブルで時代に合った仕事に関わりたい”と思うようになったという。  2023年1月から働き始めたのは、「サステナビリティ」、「ダイバーシティ」、「ジェンダー問題」と、現代社会の大きなテーマの最先端を行くウィーン市交通局だった。  ウィーンの公共交通機関を運営する会社で、地下鉄と路面電車はすでに100%再生可能エネルギーを利用しており、残るバスも再生可能エネルギーでの運行に切り替え中だ。  みずもさんは人事部に所属、フルタイム37,5時間の週4日勤務、そして在宅勤務も可能な条件で働いている。ウィーン市交通局は、ワークライフバランスを重んじた働き方改革が進んでおり、将来的にはドライバーも含む全ての従業員の勤務時間を週35時間に短縮することを目指している。  2022年の統計ではウィーンに住む30%以上が外国人で、移民や外国にルーツを持つ人も多い。現在働くウィーン交通局も国際色豊かで、56か国以上の国籍を持つ人たちが働いている。ここは「ジェンダー問題」も最先端。  3人いるCEOは全て女性。彼女たちも一般職員と混じって社員食堂で食事をしているなど、人種・性差別のない職場でとても働きやすいそうだ。就労条件、職場環境が良くなっただけではなく、収入もアップと良いことづくめの状況だ。

仕事もプライベートも充実した日々

授業風景

語学センターでの授業風景

 ウィーン大学での英語講師の仕事も続けている。講座は大学生だけではなく、一般の人も受講できる。みずもさんが目を輝かせて言う。 「様々な国籍の違う年代の人たちがいて、それぞれの人の物の見方や考え方を知ることができるのは面白いし、そういう人たちと関われるのがとても楽しい。また、先生と生徒という枠を超えて付き合える人たちと出会えるのも嬉しいですね」  労働許可どころか滞在許可も取るのが難しかったのは14年前のこと。そこから自力でビザ取得、ドイツ語を習得し、さらには英語講師の資格を取り、現地の人たちに混ざって昇進を重ね、今のポジションにたどり着いた。同時に子供たちを現地校に通わせつつ、日本語もしっかり身に付けさせたことも並大抵の努力ではないはずだ。
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「国籍取得も考えている」
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2004年よりウィーン在住。うち3年ほどカナダ・オタワにも住む。長年の海外生活と旅行会社勤務などの経験を活かし、2007年よりフォトライターとしても多数の媒体に執筆、写真提供している。著書に『カフェのドイツ語』(三修社)、『芸術とカフェの街 オーストリア・ウィーンへ』(イカロス出版)など。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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