更新日:2023年02月20日 14:26
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「ブレイキングダウン7」バン仲村vs瓜田純士、因縁の背景/バン仲村の手記より

純士は謝罪を続けていたが…

暴行中、純士は謝罪を続けていたが、とても聞く耳は持てなかった。芝居がかった純士の口調はいつもどおりのはずなのに、うさんくささだけしか伝わってこない。俺は純士をそのまま甲府駅まで送り届けた。山梨にはいてほしくなかったし、そのまま放り出しても帰る術がないこともわかっていた。東京に居場所がないと常々愚痴っていたので、そのまま女の部屋にでも転がり込んで居座られるのも嫌だった。加えて正直に言えば、そのまま警察に駆け込まれることも防ぎたかったのもある。 暴行の過程で純士の服が少し破れたのもあり、『ズラー』で撮影用の衣装として使った服をくれてやることにした。 「この服はもうやるからさっさと着ろ。お前が東京でどうなろうと知ったことじゃないから、二度と山梨に来るんじゃねえ」 言いながら、荷物をまとめさせる。帰るにもカネがないと言ってきたから、そこまでは出してやると逃げ道も防いだ。コイツとはこれで終わりだ、と強く念じ続けていた。

自分に酔っているだけの言葉

「光、俺たちはもう一度友達になれるはずだ。光がいつか俺を許してくれて、再び山梨に戻ってこられるまで、俺は諦めない。俺たちの友情がまた戻るということを俺は信じる」 純士は甲府駅の改札までそんなことを繰り返していた。そして改札前で俺を強く抱きしめてくる。ハグ、なんて生やさしいものではない。気持ちを必死で伝えるような抱擁だった。が、それでほだされるような情が俺に残っているはずもなかった。 「俺は必ずまた山梨に戻ってくるから」と純士は最後までドラマのワンシーンみたいなことを演じていた。俺のほうは冷めた気持ちで「そういうのはもういいから」と、徒労感に包まれていた。 「光とはもう一度仲直りしたいから、俺が成長して変わって戻ってくるから、それまで待っていてくれ!」 俺が最後に聞いた純士の言葉はそんなセリフだった。自分に酔っているだけの言葉だ。一時はあれほど通じ合っていたと思っていたのに、まったく想いも伝わってこない。 俺は純士に電車賃の5000円を握らせると、電車が走り出すまで見送った。最後に再び情が戻ったのではない。確実に東京へ去っていくのを確認したかったのだ。二人の関係を完全に終わりにしたかった。 純士が初めて俺を頼ってきた時、純士は田無署から出たその足で俺の元までやってきた。俺の元を去っていった純士が、東京に着くなりその足で警察署に飛び込んだのを知ったのは、それからしばらくしてからのことだった。
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謎に包まれた「半生」と
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