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AIに音楽は作れる?ChatGPTに“サザン風”の歌詞を書かせて気づいた「人間との決定的な違い」

 

<音楽編>

 さすがに楽譜までは書いてくれないので、すでに色んな人が試しているように音楽のジャンルやテーマ、具体的なアーティスト名を設定して、コード進行を考えるように指示してみます。  今回は「山下達郎のようなコード進行を書いて」としてみました。するとこんな感じでした。 ChatGPT Aメロ<Amaj7 Bm7 E7 E7>   サビ <A6 Dmaj7 F#m7 Bm7 E7 Em7 A7 Dmaj7>  鳴らしてみると、どことなく「DOWN TOWN」(シュガー・ベイブ)を彷彿とさせる響きで、このあたりの学習能力はバカにできません。つづけて、この進行に合う歌詞をつけるようリクエストします。今度はこう。 ChatGPT Aメロ <陽射しに包まれ 風が吹いている 胸の鼓動が力強く響く      歩き出す街は 生き生きとしていて 今すぐなら 何でもできそうだ>  サビ <日々は長く 夜は短く 心が軽く 浮かんでいるような      世界は広がってる 私も追いかける この気持ち 未来へ飛び立とう>  明るい長調のコード進行を反映した前向きな歌詞ですが、ところどころおかしな表現も散見されます。歩き出す街? 「今すぐなら」ってずいぶんとすぐ冷めちゃうような…。  加えて、ひとつひとつのパートは曲調を捉えたフレーズが選ばれているものの、先述したようにそこから大きなストーリーが生まれるわけではない。あえて言えば、ただのムードなのですね。  これを“歌”と思うかどうかは、聞く人、読む人によって評価の分かれるところなのではないでしょうか。個人的にはちょっと厳しいかなとの感想を持ちました。著しく意外性に欠け、問題を包括的にとらえる能力に難があると思ったからです。

今後の成長に期待…?

 というわけで、ほんのさわりですがChatGPTで曲が作れるかどうかを試してみました。  まだまだ初期段階ですので、今後どのような展開を見せるかはわかりません。もしかしたら予想しなかった学習能力を発揮して、ひねくれた音楽ファンも納得させる曲を生み出す時代が来るかもしれません。  それはそれで楽しみなような怖いような。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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