フレーズ3:[本質立ち返り]そもそも
この「そもそも」、本当に使いどころが多く、私自身も大活用しています。
会社のチャットツールで「そもそも」を検索したところ、7割以上が私の発言で使われていました(笑)。私は「そもそも=本質立ち返り」と定義しています。話をしているときに、表面上は活発に意見交換されているけれど、なんとなく空回りしている感覚がある。そういうときに、「そもそも」を使うことでモノゴトの本質を再度見つめなおすことができます。
私の会社は「透明マウスピース矯正」というサービスを提供していますが、もちろん他にも矯正サービスを提供している会社さんがいらっしゃいます。いわゆる「競合他社」ですね。社内で、「競合であるA社さんがやっていること、私たちも早くやろう」という議論にたびたびなります。
確かに、競合他社がみなやっていて、私たちがやっていないと、なんとなくやったほうがいい気がします。一方、「周りがやっているから私たちもやろう」というロジックで突き進んでいいのか、自信が持てないのも確か……。
そんなときこそ本質立ち返りフレーズ「そもそも」の出番です。
「そもそも、競合がやってるからやる、っていうのは正しいのかな? お客さんが本質的に求めている価値を明確にして、それを提供できるかどうか、という観点で考えたほうがいいんじゃない?」みたいな。カッコいいですね。
「ぐるぐる自問自答モード」になったときにもおすすめ
写真はイメージ
前述のように、議論がなんだか前に進んでいない感じのときに投げ込むのももちろん有効ですが、
自分自身が変にモヤモヤしているときにも使えます。悩みが悩みを呼び、ずっとテンションが低かったり夜も眠れなかったり、そんなときに「そもそも」で本質に立ち返ってみると、スッと解決したりします。
私自身、社長というなかなか責任の重いポジションについてからというもの、「ヤバいどうしよう」「とはいっても弱音吐くわけにもいかないしな……」「でもヤバいどうしよう」みたいなぐるぐる悩み無限ループに入ってしまう時期が定期的に来ます。そういうときに頭の中でぐるぐるし続けていても何にもならず、むしろ消耗し続けるだけ。
そんなときは、まずノートを用意してそこに今考えていることを吐き出し、
「そもそもそこが本当に悩むべきポイントなんだっけ?」「そもそも私がこの事業を通して実現したいことって何だっけ?」と本質に立ち返ることで、いつのまにかぐるぐる自問自答モードを抜け出すことができます。
自問自答モードになってしまったら、「説明力を爆上げするチャンス!」と捉え、どんどん本質に立ち返ってみましょう。
【NG 損する説明】
より成長を加速させるには、もっとスピーディーに人の採用をして、どんどん新しい店舗を出していく必要があります!
【OK 得する説明】
もちろん売上を達成することは大事ですが、そもそも私たちは社会にどんなインパクトを残すために集まっているのか、そこを明確にしたうえで、数字の話をすべきではないでしょうか。
<TEXT/伊藤祐(株式会社Zenyum Japan社長)>
外資系デンタルケア企業の日本法人「
Zenyum Japan」の代表取締役社長。「口腔ケア領域で、最高のSmileのための最高のサービスを提供し続ける」という会社のミッションを推進する傍ら、「グローバル企業の日本法人経営者」という新時代のキャリアを普及させるべく、講演や執筆活動に積極的に取り組んでいる。ツイッター(
@TasukuIto5)、
noteなどでも積極的に発信中。著書に『
得する説明 損する説明』(SBクリエイティブ)