更新日:2023年03月21日 16:44
ライフ

なぜ人生が幸せに感じない?目標よりも大切な「価値観の話」

価値観とは何か?

 価値観は目標ではない。目標は具体的で期限があり、わたしたちはそれを目指して努力する。目標は達成したら、それで終わりだ。その後は、次の目標を探さなければならない。目標になるのは、試験に合格すること、やることリストをすべて終わらせること、ランニングで自己ベストを更新することなどだ。  一方、価値観は達成できるものではない。価値観は、人生をどのように生きたいか、どのような人になりたいか、どのような原則を貫きたいか、といったことだ。  もし人生が一つの旅だとしたら、価値観とは、わたしたちが選ぶ道だ。その道に終着点はない。道はわたしたちが旅をするための一つの方法であり、価値観に沿って生きることは、その道から離れないよう意識的に努力することを意味する。途上には、跳び越えなければならないハードルがたくさんある。  それらは、この道を選んだときにわたしたちが定めた目標だ。いくつかのハードルは高すぎて跳び越えられるかどうかわからない。それでもわたしたちはベストを尽くす。なぜなら、この道を進み続けることが、自分にとってとても大切だからだ。

自分にとって何が重要であるかを見直す

交渉 他にもハードルや困難を伴う道はたくさんある。しかし、この一本の道を選び、どんな困難も乗り越えようと決心することで、すべての出来事や行動に意味と目的が生まれる。この道を突き進むという強い意志があればこそ、無謀と思えるほどの挑戦をする。ある人は生涯を通して数々の試験に取り組むかもしれない。それはその人の価値観が生涯学習と自己成長を重視するからだ。  すなわち、価値観とは、わたしたちが行うこと、それを行うときの態度、それを選択する理由なのだ。それは、わたしたちが誰であって誰でないかということではない。所有するもの、なろうとするもの、達成するもの、完了するものでもない。  時々、わたしたちは価値観に沿った生き方から遠ざかってしまうことがある。そうなるのは、人生で予期せぬことが起こり、別の方向へ引き寄せられたからかもしれない。あるいは、自分の価値観がはっきりしていなかったせいかもしれない。人生を通じて変化し成熟するにつれて、価値観も変化していく。  自立し、家を離れ、出会った人々から学び、世界について多くを学び、子どもを持ったり持たなかったりする。人生にはさまざまな変化がつきものだ。したがって、自分にとって何が最も重要であるかを、定期的に見直すことが大切だ。そうすれば、必要に応じて意識的に方向転換し、進むべき道を進めるようになり、人生を有意義なものにできる。
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人生を有意義で目的のあるものにするには
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心理学者・臨床心理士。オンラインでの発信やカウンセリングが人気を博し300万以上のSNSフォロワーを持つ。心理学・精神医学に基づく適切な知識を動画でわかりやすく届ける活動はBBC等にも取り上げられる。著書『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(野中香方子・訳/河出書房新社)

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