お金

続々と店舗を閉鎖するヴィレッジヴァンガード。オンライン化を遮る“壁”

1店舗当たりの売上高が「1割減」

ヴィレッジヴァンガード

ヴィレッジヴァンガード店舗数と1店舗売上高 ※決算短信より

 ヴィレッジヴァンガードの苦境を物語るのが、1店舗当たりの売上高も縮小していること。2016年5月期は1店舗当たり年間9300万円の売上高がありましたが、2022年5月期は8400万円まで1割減っています。  2019年5月期の1店舗当たりの売上高は9600万円と高くなっています。退店を進めたことで集客力の高い店舗を残すことができました。  しかし、コロナ禍という大変革が起こって、その努力が無駄になってしまったのです。

オンラインの売り上げは伸びているが…

ヴィレッジヴァンガード

ヴィレッジヴァンガード売上構成比率 ※決算説明資料より

 ヴィレッジヴァンガードは2023年5月期の売上高を前期比7.7%増の288億2400万円と予想しています。今期は増収を見込んではいますが、上半期の売上高は116億9400万円で、売上予想への進捗率は40.6%でした。2022年5月期上半期の売上高は、通期の実績に対して44.9%進捗していました。目下、予想に対してやや遅れをとっています。  ヴィレッジヴァンガードの全店ベースでの月次売上高は、2022年10月から2023年2月まで前年を下回って推移しています。集客に苦戦しているというのが本音でしょう。  ヴィレッジヴァンガードは成長の足掛かりとして、Webでの販売に注力するとしていました。2021年5月期1Qのオンライン販売の売上高は1億7800万円で、全体の2.6%程度でした。2022年5月期4Qは14億7500万円となり、構成比率は5.3%まで上がっています。しかし、2023年5月期2Qは4億6700万円で3.8%まで下がりました。前年同期間と比較しても売上高、構成比率の両方を落としています。
次のページ
エンタメ空間を作れないジレンマ
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ