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続々と店舗を閉鎖するヴィレッジヴァンガード。オンライン化を遮る“壁”

「エンタメ空間」を作れないというジレンマ

 ヴィレッジヴァンガードは書籍や玩具、CD、DVDなどの異なる商品を分離せずに並列して販売する手法を得意としてきました。「遊べる本屋」がテーマとなっている通り、店舗そのものがエンターテイメント空間と化しており、それが人気を支えています。  Webに注力するといっても、得意としている手法が通用しません。オンラインストアでは人気キャラクターの限定コラボグッズを販売してユーザーが訪問する理由を作っているものの、サイトでは店舗を訪れた際の、あのワクワクする感触まで醸成することができません。

再びサブカルブームをけん引できるか?

 ヴィレッジヴァンガードは大変革の時期を迎えているように見えます。幸いにもヴィレッジヴァンガードの自己資本比率は30%程度と安定しており、保有する現金も55億7600万円と少なくありません。  しかしこの先、中長期的に減収が続くとやがて慢性的な赤字となり、キャッシュが枯渇して身動きがとれなくなります。書店運営の文教堂グループがまさにそれでした。文教堂は2019年6月に事業再生ADRを申請し、現在も再建に向けて店舗の圧縮を続けています。  ヴィレッジヴァンガードはVTuberやYouTuber、人気アニメなどとコラボレーションしたオリジナルグッズの企画開発に注力しています。それはオンライン事業の強化に必要なものですが、店舗が持つポテンシャルを発揮できていない印象を受けます。  大衆文化に迎合すれば、既存のファンを失うのは明らか。場合によっては経営陣の変更など抜本的な改革を行い、店舗の在り方そのものの見直しが必要なのかもしれません。若者、そして往年のファンたちのサブカル熱そのものが廃れてなくなることはないでしょう。むしろ文化のけん引役が求められています。 <TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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