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株価上昇が見込める「バリュー株」を見つける3つの条件と、プロの“オススメ”6銘柄

 長引く不況の影響で賃金の上昇が見込めないなか、そこに追い討ちをかけるような物価高……。いまの時代、資産形成において「投資」は視野に入れておきたい。
株式投資

※画像はイメージです(以下同じ)

 投資をするうえで、だれもが憧れる“テンバガー”。株価が10倍以上に成長する銘柄のことだが、これを売却することで大きな利益が得られるのだ。とはいえ、いかにしてそんな“お宝株”を見つければいいのか。  証券アナリスト・複眼経済塾塾長の渡部清二氏は、会社四季報を100冊読破し、日経新聞の切り抜きを25年間行い、指標ノートを9000日以上記録し続けているという。今回は、渡部氏の著書『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)から一部を抜粋してそのノウハウを紹介する。

株価が割安な「バリュー株」の見つけ方

 企業が保有している自己資本、現金、不動産などの資産の価値と照らし合わせて株価が割安な株をバリュー株という。割安度の指標とされているPBR(株価純資産倍率)が上場企業のなかで低い銘柄、あるいは全上場企業のPBRの平均を下回っている銘柄や、PBR1倍未満の銘柄をバリュー株と呼ぶこともある。  手持ち資産が十分あるのが特徴で、株価が資産に対して割安になっているため、景気が思わしくない状態に陥った場合でも、値下がりし続けるリスクが少ない。中小型成長株などと比較して、あまり成長は期待できないものの、安心して買える点が投資家に評価されている。  バリュー株は、電気・ガス・水道などのインフラ系、銀行・保険・証券などの金融系に多く、そのなかから銘柄を選ぶ際は、次の3つの条件のすべてに該当する株を見つけるようにする

①:PBR(株価純資産倍率)が0.7倍以下

株式投資 純資産とは、株主から調達した資本金、貯めてきた利益剰余金などを合計した資産のことを指し、PBRはこの純資産に対して株価がどの程度の水準にあるかを表している。PBR1倍以下の株は純資産よりも株価が割安の水準、PBR1倍以上の株は純資産よりも株価が割高の水準ということになり、その倍率は次の計算式で求めることができる。 PBR(倍)=株価÷BPS(1株当たり純資産)  BPS(1株当たり純資産)は、期末の純資産額を期末の株式数で割った数値で、四季報の<配当>の下に「1株純資産」として表記されている。  株にはPBR1倍以上のものもあれば、PBR1倍以下のものもある。たとえば、PBRが1.2倍であれば、企業が保有している資産に対して株価は1.2倍になり、これとは逆に1倍を下回っているのがバリュー株で、資産に対して株価は割安になる。  しかし、割安か割高かを判断基準にすると、PBR1倍以下の株はすべて割安ということになるし、対象となる企業数が増えてしまうため、私はPBRが0.7倍以下の株に的を絞るようにしている。
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「バリュー株」を見つける2つ目の条件は?
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複眼経済塾 代表取締役塾長。1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券に入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年たずさわる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」 を開始。20年以上継続中で、2022年秋号の『会社四季報』をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチを設立し、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所を設立、2018年複眼 経済塾に社名変更。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『日経新聞マジ読み投資術』(総合法令出版)などがある。

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10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

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