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株価上昇が見込める「バリュー株」を見つける3つの条件と、プロの“オススメ”6銘柄

②:自己資本率が70%以上

 資本には、銀行などからの借入金(負債)も含まれる。そのため自己資本と負債を合計した総資産のうち、自己資本が占める割合(自己資本率)が高いかどうかが、バリュー株であるか否かの判断基準になる。  自己資本率が高いほど、赤字になった時の耐性が強いことから、一般的に経営状態は健全だとされていて、私は自己資本率70%以上を目安にしている

③:株価上昇のきっかけ(カタリスト)があること

10倍株の転換点

渡部 清ニ『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)

 株価の変動を読むのに、カタリストは重要な要素になる。バリュー株は割安でリスクが少ないとはいえ、株価が上がる要素がなければ、いつまでも安いままの「万年割安株」になってしまい、ずっとリターンが得られないこともある。  バリュー株の株価が上向く背景はさまざまで事業の内容によって異なるが、大きく分けて、利益が出て自己資本が拡大するか、もしくは自己資本が拡大する期待によってPBRが切り上がるかの2つになる。  自己資本が拡大する期待とは、たとえば、モノの価格が上がるインフレ、他企業との提携、M&Aなどであり、これらもカタリストになる。場合によっては、日銀の金融政策もカタリストになり得るが、いずれにせよ期待値が高まることで株価が上向いていくことが考えられる。  割安感だけでカタリストが期待できない株に投資してしまうことを「バリュートラップ」という。バリュー株に投資する際は、このトラップ(罠)に陥らないように、有望銘柄を見つけるようにしたい。 『会社四季報 2022年4集 秋号』で、自己資本比率70%以上、PBR0.7倍以下(2022年9月16日終値)の銘柄としては、たとえば、中国電力系の電気工事会社の中電工(1941)、婦人下着首位のワコールホールディングス(3591)、医薬品の鳥居薬品(4551)、クラッチ専業メーカーのエフ・シー・シー(7296)TBSホールディングス(9401)日本テレビホールディングス(9404)などが挙げられる。 <TEXT/渡部清ニ(複眼経済塾 代表取締役塾長)> ※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。
複眼経済塾 代表取締役塾長。1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券に入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年たずさわる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」 を開始。20年以上継続中で、2022年秋号の『会社四季報』をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチを設立し、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所を設立、2018年複眼 経済塾に社名変更。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『日経新聞マジ読み投資術』(総合法令出版)などがある。
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10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

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