東大でトップクラスの人気授業「要求することはひとつだけです」教授が語った内容とは
東京大学を8年かけて卒業し、現在は国際舞台での活躍を志すプロサッカー選手を中心に、語学やリベラルアーツを教えている、タカサカモトさん(@grantottorino)。遠藤航選手や原口元気選手などからの信頼も集める彼の新刊『東大8年生 自分時間の歩き方』(徳間書店)が話題だ。
鳥取の田舎から上京したものの都会生活になじめず悩んだサカモトさんは、東大の授業で運命的に出会った恩師に背中を押される形で世の中を放浪し4か国語を使いこなすまでになる。今回は運命的な恩師との出会いについて紹介する(以下、同書より一部抜粋)。
2004年4月9日金曜5限、東京大学駒場キャンパス。入学初日の午後のことだった。各授業を自由に見てまわりながら、履修する授業を選択することになっていたこの日、2年生の先輩に強く勧められて何となく足を運んだその教室で、僕は人生を変える出会いを経験することになる。
それは、科学史・生命倫理学専攻の小松美彦教官による「科学史」の授業だった。
科学史という分野に興味があったわけではない。興味以前に、そういう分野があること自体もよく知らないようなレベルだった。だから、授業の名前を聞いた時点では、恥ずかしながら教官の名前もまったく知らなかったし、この授業が、実は当時の駒場キャンパスでトップクラスの人気授業だったことも、もちろん知らなかった。
それでも、いざ教室に着席して教官の話を聞いてみると、すぐにほかとは違う特別な雰囲気が感じられて、瞬く間にこの授業に興味が湧いた。その前に覗いていたほかのいくつもの授業と比べたときに、教官のもつ気迫が明らかに違ったのだ。それは、覇気やオーラと言い換えてもよいかもしれない。
東大に入学し、全授業の概要が掲載されたシラバスと呼ばれるガイドブック(現在はオンラインのみだが、当時は紙だった)を手にしてからというもの、あまりに面白そうな授業ばかり並んでいることに知的好奇心が止まらず、どの授業を履修するかより、むしろ、どれを履修しないかを決めねばならないような気持ちになっていた。
そんな状態で迎えた授業初日、シラバス上に溢れかえっていた魅力的な授業の多くが実際には存在せず、代わりにまったく覇気のない冗長なおしゃべりを聞かされるだけの、退屈極まりない授業ばかりであったことを目の当たりにして愕然とした。そして、昼休みを迎えるころには、すでにいくばくかの失望を感じていた。
東京大学、授業初日
教官のもつ気迫が明らかに他と違った
フットリンガル代表。1985年4月12日、鳥取県生まれ。東京大学文学部卒業。田舎から東大に進学後、人生に迷う。大学の恩師の助言で自分に素直に生きた結果、メキシコでタコス屋見習い、鳥取で学び場づくり、ブラジルの名門サッカークラブ広報、ネイマール選手の通訳などを経験。Twitter:@grantottorino Instagram:@takafotos
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『東大8年生 自分時間の歩き方』 自分の目で見て、自分の心で感じて、自分の頭で考える |
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