更新日:2023年05月30日 11:32
お金

“レンタル事業撤退”のトップカルチャー。「舵取りが難しい局面」をどう切り抜けるか

レンタルの落ち込みを他の商品で埋めることができず…

 トップカルチャーの2023年度1Qの商品別売上高で、前年同期間を上回ったのは特選雑貨・文具(2.0%増)と、賃貸不動産収入(4.7%増)のみ。それ以外はすべて減収となりました。  トップカルチャーは市場縮小が鮮明なレンタル事業からの撤退を決断。蔦屋書店とTSUTAYAの新たなあり方を模索し、コワーキングスペース、特選雑貨、リーシングの強化を打ち出しました。  DVDやCDのレンタルを行っていたスペースで、シェアスペースや日用品の販売を進めようとしたのです。2021年9月に蔦屋書店 新潟万代でコワーキングスペースをオープンし、2022年11月には蔦屋書店川中島店内でDAISOの運営を開始しました。また、企業とコラボレーションしたポップアップショップを期間限定で立ち上げています。  2023年度1Qのレンタルの売上高は前年同期間比26.2%減の2億7600万円でした。急速に縮小しています。しかし、特選雑貨や賃貸不動産収入は微増に留まっています。

レンタル撤退の大号令だけが響く

 問題なのは、株主を軽視しているようにも見えること。トップカルチャーは2021年7月15日にレンタルからの撤退を表明していますが、その際に21億円程度の撤退損失を出すと説明しました。事実、2021年10月期に21億4,400万円の事業撤退損を計上しています。  7月15日のトップカルチャーの株価終値は348円。この時点では大きく値が動くことはありませんでした。レンタル市場が先細りになることは誰の目にも明らかであり、この決断はむしろ希望を持てたとも言えます。    しかし、業績は上向くどころか低迷しはじめます。更に、トップカルチャーは2023年10月までにレンタルからの完全撤退を進めるとしていますが、進捗率や転換した売場の収益がどのように変化したのかに対する説明が十分ではありません。  株価はジリジリと下がり続け、2023年5月12日(執筆時)の終値は195円でした。6割以下にまで下がっています。
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優先株の発行で創業者は高配当で大儲け?
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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