“立浪監督の打撃指導”が原因という説も。なぜ「中日は最下位から抜け出せないのか」
安打は出るものの、ここ一番での決定打に欠ける――開幕して2ヵ月近くが経った中日の戦いぶりである。
5月15日現在、チーム打率は5位に2割4分3厘で最下位のヤクルトの2割2分4厘を上回るも、チーム得点は95と、12球団で最下位となっている。塁上を賑わすことがあっても、とにかくタイムリーが出ない。3月31日の巨人との開幕戦で4番を打ったアリスティデス・アキーノは4月30日時点で1割5分4厘、1本塁打、6打点、出塁率1割7分6厘、三振数32という低調ぶりで、5月1日には二軍に降格、同じく開幕戦で5番を打っていたダヤン・ビシエドは本塁打、打点ともに0の状況を受け、二軍での調整を命じられた。
立浪和義監督は、21年10月20日の自身の監督就任会見で、「打つほうは必ずなんとかします」と力強く宣言したが、2シーズン目に入ってもその言葉通りに打線が改善されたとは言い難い。
たしかに若い選手は出てきた。昨年大ブレークを果たした岡林勇希を筆頭に、4番を打つ石川昂弥、現役ドラフトでDeNAから移籍していた細川成也、26歳のルーキー・福永裕基と若竜たちがグラウンドで躍動している姿は、「中日も変わろうとしているな」と期待を抱かせる。
一方で助っ人外国人、とりわけビシエドに精彩がないのが気になる。今季2度目の出場選手登録の抹消をした5月10日の広島戦後に立浪監督は、
「昨日の打撃を見て、やっぱり状態が変わらない。(中略)自分は衰えているということを気づかないといけないし、誰が見ても、しっかり攻められたら、チャンスはないなと判断しました」
と厳しい評価を下したのだが、大勢の番記者を前に「衰え」を口にされたビシエドの心情を考えると、やるせない気持ちになってくる。ビシエドは2018年には首位打者と最多安打のタイトルを獲得した選手である。たしかに本塁打数は一昨年、昨年と落ちているが、打率は一昨年の2割7分5厘から昨年は2割9分4厘と上昇している。
立浪監督はビシエドの奮起を促そうとしたのだろうが、このようなネガティブな言葉を聞いたところで誰も得をしないことに気づいていないのだとしたら、非常に残念である。
立浪体制は2シーズン目に突入も…
ビシエドへの厳しい評価は「やるせない」
スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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