更新日:2023年05月18日 17:33
スポーツ

“立浪監督の打撃指導”が原因という説も。なぜ「中日は最下位から抜け出せないのか」

立浪監督が打撃で重視することは…

 立浪監督は現役時代、通算2480安打を放った打撃職人だ。487二塁打は、23年4月現在まで日本プロ野球記録となっている。それだけに自身が監督となり、選手たちを指導すれば打撃は向上すると考えていたし、中日ファンも大いに期待していた。  けれども結果は思い通りには出ていない。その要因の1つとして挙げられるのが、立浪監督の選手に対する打撃指導ではないか、という見方もある。  立浪監督は打撃に対しての分析力に長けている。なかでも重視していることが2つある。1つは、「ステップの幅」。立浪監督は現役時代の晩年、ステップした足の幅が広くなってしまうと、体が前に行ってしまい、いわゆる突っ込んだ状態になって打てなくなることに気づいた。  立浪監督が考える理想のステップの幅は、最初に構えた前足の位置から靴の縦幅1足ちょっと。長さにして25~30センチくらいを一つの基準にしている。打撃練習のときになると、立浪監督がホームベースの後ろではなく、横から見ていることが多いのは、選手の踏み出したステップの幅が明確にわかるからだ。

本来持っていた良さを失ってしまうことも

 もう1つは、ステップした後、打ちに行こうとするときにトップを作ったときの「バットの角度」。実績を残している打者ほど、投手方向にヘッドを傾けたバットがおよそ45度になっていることが多いと立浪監督は分析している。  だが、こうした理論に当てはまらない選手も当然出てくる。ステップした幅が広くても打てる選手もいるだろうし、トップを作ったときのバットの角度が45度にならなくても、平然と打てる選手もいるはずだ。  自分の考えている理論に選手が合わない場合、ほとんどが指導者の言葉に従わざるを得ない。そのことで、選手が本来持っていた良さを失ってしまうことだって大いにあり得るわけだ。
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野村監督が「細かな打撃指導を行わなかった」理由
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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