夫婦役は「ゆり子さんが一緒でよかった」
――おふたりの役どころも実在のご夫婦がモデルということで難しかったと思いますが、演じるうえで意識したことはありましたか?
遠藤:状況を見て厳しいなと思いつつも、どこかで大丈夫だと信じている葛藤を出したいと考えました。ただ、その緊張感を出しすぎても出さなさすぎてもダメなので難しいところですが、そこはゆり子さんと家族を演じさせてもらうことでうまくできたと感じています。というのも、僕の場合は深刻になると険だらけの顔になってしまいますが、ゆり子さんはそれがありませんから。しかもそばにいてもらうと豊かな気持ちにもなるので、今回はゆり子さんが一緒でよかったなと思いました。
石田:現実のことを思えば当然ですが、すべてがつらくて撮影では本当にクタクタになりました。でも、そんななかで共演経験のある遠藤さんとご一緒できたことで、私もすごく安心感を得られたと思っています。
――演じるなかで、震災当時にご自身が感じていた気持ちを思い出す部分もあったのではないでしょうか。
石田:そうですね。私は舞台の公演中でしたが、遠く離れた東京にいても、お店から食品がとても少なくなったり、電気が街から消えたり、余震があったりとすごい恐怖がありましたから。普通の時間がいかに幸せなのかというのを感じました。
遠藤:当時はニュース映像でしか見ていなかったことばかりでしたが、被害者家族が誹謗中傷を受けたこともあったようなので、本当にとんでもない状況だったんだと。東電のみなさんが命がけで戦っていたことを知り、あのときはわからなかった現実がたくさんあったことを改めて痛感しました。
仕事の切り替えは「ウォーキングしたり、音楽を聴く」
「THE DAYS」 ©Netflix
――今回の撮影は精神的にも大変だったと思いますが、普段仕事のオンオフはどのようにされてますか?
遠藤:気分転換にウォーキングしたり、音楽を聴いたりしますけど、切り替えはあまり上手なほうではないですね。役が抜けないということではなくて、心配性なので、終わってから「大丈夫だったかな」と考えたり、翌日のことが気になったりしちゃいます。ゆり子さんは上手そうじゃないですか?
石田:いや、それがそうでもないんですよ。特に、この作品のように命にかかわる内容のときは、撮影が終わってからつらくなってしまうことがあるので。器用にオンオフを切り替えられないことが多いなと感じています。
――ちなみに、ご自身が欠かさずに続けていることやルーティンなどがあれば、教えてください。
遠藤:僕は去年から始めたストレッチです。最初は妻が毎晩やっている姿を隣で見ていただけですが、どんどん成果が出ていてすごいなと。それで一緒にYouTubeとか見ながらやってみたら体や腰痛が楽になってきたんです。まだめちゃくちゃ硬いですが、自分には合っているのかなと思って続けています。
石田:私もストレッチはしていますけど、重要ですよね。あとは、ジムで運動したり、散歩したり。普通のことですみません(笑)。