広末涼子のスキャンダルが注目され続けるワケ。近所の子供を見ている感覚
女優の広末涼子(42)とレストランのオーナーシェフ・鳥羽周作氏(45)のダブル不倫問題が世間の関心を集め続けている。広末の夫のキャンドル・ジュン氏(49)が彼女の知られざる一面を会見で明かし、問題を広げたこともあるが、ほかの女優の不倫問題だったら、ここまでは話題にならないはず。
振り返ると、過去もそうだった。広末のスキャンダルは世間の高い関心を集めやすい。どうしてだろう。
後にも先にも広末ほど大学受験が注目を集めた芸能人はいない。野球人ならいる。江川卓氏(68)である。作新学院高時代に怪物と呼ばれるまでのピッチャーだった江川氏は阪急(現オリックス)のドラフト1位指名を辞退し、慶應大のみ受験した。
すると、合格発表前から「野球がうまいだけで入学させたら不公平だ」という怒りの声が巻き起こった。結局、不合格だったが、合格していたら批判は続き、アンチ江川が増えたのではないか。一方、一方、合格した広末には相当数のアンチが生まれた。2003年に中退したため、アンチは余計に増えただろう。
その後の広末の起こしたスキャンダルにアンチが強い関心を示したのは自然の成り行き。「それ見たことか」といったところだろう。ただし、味方も大勢いる。早大入学騒動のときも広末に同情的な人は多かった。近所の子供の受験を見守るような気持ちだったのではないか。
広末のスキャンダルが注目されやすい理由はほかにもある。かなりのダメージと思われる問題に襲われながら、それをヒョイと乗り越え、何食わぬ顔で活動を再開する。それでいて行動が慎重になるわけではなく、再びスキャンダルの当事者になる。この特異性だ。
誰だって危ない橋は何度も渡りたくない。ところが、広末は違うらしく、渡り終えたあとに再び橋に戻ってしまう。不死鳥なのか、破滅願望があるのか、何も考えていないのか。いずれにせよ、スキャンダルの壁を難なく越えてきた。軽業のような広末のスキャンダル対処術にも世間は惹かれているように思う。
幼いころから知っている近所の子供
広末は1980年に高知市内で生まれ、14歳だった1994年に「第1回クレアラシル ぴかぴかフェイスコンテスト」に出場。断トツでグランプリに輝き、翌1995年からニキビ治療薬「クレアラシル」のCMに出演。芸能界入りした。 人気が爆発したのは1996年。フジテレビの連続ドラマ『将太の寿司』と『ビーチボーイズ』に出演し脚光を浴びる一方、NTTドコモのポケベルのCMが大評判となった。「ヒロスエ効果でドコモのポケベルの売り上げが激増した」と言われたほどだった。 このとき、広末は16歳。子役出身者や若くしてデビューした芸能人はその後も世間から関心を持たれやすい。8歳のときにデビューした杉田かおる(58)の離婚・再婚も耳目を集めたし、9歳でデビューした安達祐実(41)の離婚・再婚もそうだった。芦田愛菜(18)も進学先や大学入学が大きな話題になった。 早くから知る芸能人は身近に感じられる。幼いころから知っている近所の子供に似ている。近所の子供は大人になっても気になる。立派になると、自分まで誇らしい。半面、やんちゃをすると、思わず「何やってんだよ」と叱りたくなる。 広末のスキャンダルが注目を集めやすい構図もこれに近いのではないか。15、16歳から知っているから、「どうしちゃったんだよ」と苦言を呈したくなる。当事者意識のようなものが芽生えやすい。 広末のスキャンダルが関心を持たれやすい理由はまだある。1998年秋から翌1999年春にかけての早大入学騒動も影響しているだろう。 広末は1998年11月に自己推薦入試で教育学部国語国文学科に合格した途端、猛烈に叩かれた。早大が認めた正規合格者なので、本来なら広末が批判される筋合いではなかったものの、一部雑誌は高校時代の成績が早大入学に相応しいかどうかまで調べた。 世間のみならずマスコミにも推薦入学制度に否定的な人がいるからだ。広末の合格については議論百出となった。「芸能人」としての広末ではなく、「素」の広末が国民的関心事なった。それにより、広末という存在が芸能人にほとんど興味のない層にまで認知された。結果的に広末のスキャンダルがほかの芸能人より関心を集めやすい環境がつくられた。
危ない橋を何度も渡る特異性
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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