更新日:2023年06月30日 19:19
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広末涼子の不倫騒動にみる「芸能人の不倫はいつから大罪に?」過去を紐解く

不倫する人は「モラルがない」という評価

 芸能人の不倫への眼が厳しくなったのは1990年代半ばだ。くしくも「コンプライアンス」という言葉が頻繁に使われ始めた時期と重なる。1997年、野村證券による総会屋系企業への利益供与が発覚し、社会問題化すると、同社はコンプライアンスルールをつくると約束した。  同年、第一勧業銀行(みずほ銀行)と総会屋の結び付きも露見。銀行界もコンプライアンスの徹底を訴え始めた。ビジネスでルール遵守の考え方が広がり始めた時期と、世間でモラル重視の考え方が広まり出す時期が一緒だったのは偶然ではないだろう。  実業家も昭和期は大っぴらに不倫した。故・宇津井健さんらが所属していた映画会社「新東宝」の故・大蔵貢社長は、女優のキャスティングについて俳優から「社長と特別な関係にある女優が優遇されているのではないか」などと指摘された。大蔵社長はこれに怒り、「妾を女優にしたのだ」と開き直った。メチャクチャである。しかし、話題にはなったものの、糾弾はされてはいない。  今は違う。昨年9月、アウトドアメーカーの女性社長(当時34)が既婚男性との交際と妊娠を理由に辞任した。「そこまでしなくても」という意見もあったが、今の時代を考えると、間違ってはなかったのではないか。モラルのない人がトップの会社と思われてしまう。  不倫に寛大な時代は2度と来ない。ルールやマナーは時代が進むに連れて厳しくなるのが常。交通ルールや喫煙ルールを見ても分かる通りである。不倫に走る芸能人にはますます厳しい時代になる。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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