タイムリミットが迫ってきたところで、この後の展開についてブッチ先輩に聞いてみた。 「人数が多い時なんかは、リーダーっぽい人が『行こうぜ！』って先導して、みんなでワーッと2軒目に移動する感じ。そこから盛り上がっておじさん同士で三次会まで行ったことはあるんだけど、残念ながら女性と2人で抜けだして……なんて展開はこれまで1度もなかったですね」 　自虐交じりのエピソードを聞いたところで、お開きの時間に。ラストのターンでは3人全員と連絡先を交換した。閉会後は、男性が退店し終えてから女性が退店するという、集合時と同じく時間差での動線整理が行われていた。 　今回参加したパーティは、30分ごとの席替えがある以外はフリートーク形式で、スタッフがマッチングのお膳立てをすることはない。自己紹介や連絡先の交換も参加者の裁量に委ねられているため、無駄に個人情報を垂れ流すことなく、安心してその場での会話やお酒を楽しむことができると感じた。 　だが一方で、潔くフルネーム登録・本人の顔出しアイコンのアカウントでLINE交換する人がいたことには驚いた（もちろん、サブアカウントっぽい人もいた）。余談だが、連絡先を交換した6名のうち、2名から後日お誘いがきたが、いずれもパーティではあまり話さなかった相手だ。家庭があるからこそ、パーティという開けた場所では健全に、やましいことは秘密裏に、という方針なのかもしれない。 　閉会から約10分後、トイレに立ち寄り会場付近に戻ってくると、あたりから参加者が完全にはけていた。男性からの連絡もゼロ件だったため、この後は何もナシかと思い、ビルの階段を上って帰路につこうとした。すると、その先の木陰に見覚えのある参加者が立って電話をしている最中だった。