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「親のクレカでコンビニ弁当」平均年収1185万円“富裕層の街”港区が抱える子供の貧困

子どもの自尊心低下にもつながる

 編集部で都内にある小学校数十校を調べたところ、私立学校に入学した場合、入学金に25万円程度かかる。一方で、公立学校は5650円程度だった。  また、私立学校の授業料は年間で約50万円にのぼり、公立学校では1万円程度だ。私立学校は施設整備費や維持費も負担するケースがほとんどだ。それらを全て含めた合計は私立学校の場合だと年間で約80万円になり、公立学校と約70万円の差がある。  山下さんは「小学校から塾で年間100万円を払う家庭もある。塾で忙しいと午後10時に家へ帰ることもあり、家族と一緒に食事することが少ない。また、親も仕事で忙しいケースがあり、平日は1人でご飯を食べることもあった」と話す。  前出の児童支援団体で働く職員は「1人で食事をすることは、子どもの自尊心低下にもつながります。また肥満など健康被害になり得ることも」と警鐘を鳴らす。

子ども食堂の理事長が語る「港区の実態」

港区貧困

NPO法人みなと子ども食堂・宮口高枝副理事長

 東京メトロ日比谷線の広尾駅から徒歩10分のところにある公共施設「ありすいきいきプラザ」では月2回(第1・第3水曜日)、NPO法人「みなとこども食堂」が子ども食堂を開いている。1回の開催で、60食程度用意し、子どもが30人程度、大人も30人ほど参加しているという。  NPO法人みなと子ども食堂の宮口高枝理事長は「私自身もね、母子家庭。母が仕事で忙しかったから、一人でご飯を食べていたのです。子どもたちの寂しさは分かります」と語る。  子ども食堂を通して見えてきた現状をこう話す。 「孤立といった精神的な貧困にいま、港区の多くの親御さんが直面しています。多忙のあまり、子どもと食事を取れない親御さんもいるなか、その親御さんの心身が疲弊していることがあります。その結果、子どものことを考えたくても考えられないことが起このではと感じています」
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港区に子ども食堂がある理由
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