ライフ

9割が「差別」を感じている…理解されない“生きづらい病”の実態

障害者への「関心」から「理解」を促す方法

生きづらい病 関心から理解を促すにはどうすればいいのか。障害法を専門とする放送大学の川島聡教授は「家族や友人だけでなく、自分自身でさえ『障害は持ちうるもの』と認識し、当事者意識を持つことです」と話す。  また、障害者を理解し配慮することは、転ばぬ先の杖になるだけでなく、社会全体のメリットにも繋がるという。 「例えば、学校の宿題は手書きのみ、会議は対面のみといったありふれた慣習が、障害者を苦しめてきました。事業者の合理的配慮を義務化する改正障害者差別解消法は、こういった本質的ではない無駄を取り除く良い機会となりえます。  社会が一方的に障害者を支えるものと捉えるのではなく、合理的配慮の実現はすべての人に恩恵があると考えれば、より理解に前向きになれるのではないでしょうか」  自分事にすることが、理解を深めるカギとなる。

あまり知られていないハンディキャップ

トゥレット症候群:運動チックと音声チックが1年以上続く精神神経疾患。運動チックは意思に反して不規則で素早い運動が繰り返される現象で、音声チックは意図せず音や言葉が発せられる現象。 境界知能:一般的にIQが71以上85未満で、知的障害の診断が出ていない人に対して使われる言葉。診断名ではなく、知的発達が平均範囲と知的障害の境界線にあることからこう呼ばれる。 場面緘黙症:家などの安心できる場所では普通に話すことができるのに、学校や職場など特定の場所や状況では1か月以上声を出して話すことができなくなる状態のこと。発達障害のひとつ。 読み書き障害:全体的な発達には遅れはないのに、文字の読み書きや内容の理解に限定した困難のこと。学習障害(LD)や限局性学習症(SLD)のタイプのひとつで、ディスレクシアとも呼ばれる。 全身性エリテマトーデス:関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁など、身体のあらゆる場所で起こる炎症系の自己免疫疾患。20~40代の女性に多く、顔面に蝶々の形をした発疹である蝶形紅斑が出現する。 後縦靱帯骨化症:背骨を縦に走る後縦靭帯が骨化し、脊髄や神経が圧迫されることで感覚障害や運動障害などの神経症状を起こす病気のこと。手足のしびれが続き、歩行障害などに繋がることも。 全身性強皮症:皮膚や全身のさまざまな内臓が徐々に硬くなる線維化や、手足の先の血行が悪くなる末梢循環障害を特徴とする病気のこと。皮膚だけの硬化の場合は限局性強皮症と言われる。 脊髄小脳変性症:主に小脳の一部が原因不明の神経障害を起こしたときに表れる症状のこと。体自体は動かせるが、歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らないなど、うまく動かせない。
生きづらい病

川田祐一氏

【障害者ドットコム代表・川田祐一氏】 障害福祉情報メディア「障害者ドットコム」を川田直美氏と夫婦で運営。相談支援事業、就労継続支援事業など福祉事業にも携わる。
生きづらい病

川島聡氏

【放送大学教授・川島聡氏】 障害法、国際人権法など、障害者等の生活に関わる法分野が専門。共著に『合理的配慮――対話を開く、対話が拓く』(有斐閣)など 写真/PIXTA 取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
おすすめ記事