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パチンコ店の大倒産時代が到来…原因は「規制強化が招いたファン離れ」

コロナ禍で迎えた“入れ替え期間”

 店舗の経営者が苦渋の決断を下していたのは、集客のためばかりではありません。この業界特有の規制も関係しています。2018年2月に遊技機に新たな規則が適用され、旧規則機を新規則機に入れ替える必要がありました。入れ替え期間には猶予が設けられており、その期限を迎えたのが2022年1月末でした。  つまり、パチンコ店の運営会社はコロナ禍という大激震が起こったにも関わらず、新規則機に一新しなければならないという冬の時代を迎えていたのです。  旧規則機の撤去により、「CR真・北斗無双」「CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃」、「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」などの人気機種が姿を消しました。  パチンコは長らく親しまれてきたCR機から、新基準のP機となりました。大当たり時の最大ラウンド数が16から10に、2400玉から1500玉まで減ったことが大きな変更点です。射幸心を抑えた作りになっていると言えるでしょう。

リミッターによってファン離れが加速

 規制強化とユーザーの推移には一定の相関関係があります。パチンコユーザーとパチスロユーザーの推移を見ると、2000年から2002年にかけて急減。2500万人から1500万人程度まで縮小しています。
パチンコ・パチスロユーザーの推移

パチンコ・パチスロユーザーの推移 ※シーズ「パチンコ業界に関する2022年度 基礎調査データ」より

 パチンコ業界では、1998年に大当たり回数が強制終了されるリミッターが導入されました。この規制強化によって従来のパチンコの醍醐味が失われ、急速なファン離れを引き起こします。  2002年にパチンコユーザーの減少ペースに急ブレーキがかかっています。この年に内規が見直され、CR機での大当たり終了後の時短(チャンスタイムに近しいもの)が解禁されました。そのタイミングで「CR新海物語」という空前絶後のメガヒット台が世に送り出されたことにより、ファンのつなぎ止めに成功しました。  しかし、それが長く続くことはなく、緩やかにユーザーは減少します。慢性的なファン離れの要因として、スマートフォンゲームの登場など娯楽の多様化が指摘されています。
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デジタル化で更なる負担も…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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