「兄からの暴力で血だらけに…」“家族全員が精神を病んでいる環境”で育った作家が伝えたいこと
警視庁の発表によると、2022年度に全国の警察が受理した配偶者などパートナーからの暴力(DV)の相談件数は前年比1.8%増の8万4496件。19年連続で最多を更新したことがわかった。加えて、虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した児童数は11万5762人と、18年連続で過去最多を更新している。
家庭内暴力に苦しむ人は少なくなく、今まさに自分を殺すかもしれない人間と同じ屋根の下で生活している人もいる。ただ、家庭内暴力は親から親へ、親から子供へ、というパターンだけではない。子供から子供へ、子供から親へというケースがあることも知っておかなければいけない。『機能不全家庭で死にかけた私が生還するまで』(晶文社)の著者で、幼少期から家庭内暴力に苦しんだ“サバイバー”の吉川ばんびさん(@bambi_yoshikawa)に、過去に受けた家庭内暴力の内容、また家庭内暴力を無くすために必要なことなど話を聞いた。
幼少期や学生時代、何が吉川さんを追い詰めていたのか聞くと、「1つ上の兄からの暴力です」とのことだ。
「殴ったり、髪を引っ張ったりは日常茶飯事。私が暴力を振られて泣いていると、『俺が悪いことしたみたいになるから泣くな』と言われました。特に中学生、高校生の時はつらかった。当時不良だった兄は、さらに気性が荒くなって暴力が激化。身体はもう成人男性ですので殴られるとかなり痛かったです。
また、中学生の時に至近距離からペットボトルを投げられて額が割れてしまって。顔中が血だらけになったのですが、それでも母親は『タンスに頭をぶつけたってことにしろ』と世間体を気にするだけでした」
兄からの凄惨な暴力を両親は黙って見過ごしていたのか。
「母親も兄から暴力を受けていて、それを止めようとすると私が殴られる、という感じです。父親は一切関わろうとしません。ただ、私は父親には同情していて。父親は両親に育てられた経験がなく、祖母に預けられて育ったそうです。母親も幼少期に父親から虐待を受けていた過去があります。家族全員が精神を病んでいる環境でしたね」
両親は吉川さんを守ってくれない状況下。身体にアザができたのであれば、学校の教師も対応するはずだが、「見て見ぬふりをしていたと思います。関わるのが面倒だったのかもしれません」と振り返った。周囲の大人が家庭内暴力を解決することはなかったようだ。
ちなみに、今現在“吉川ばんび”として活動していることを家族は知っているらしい。
「家族とはもう関わらないようにしています。ただ、LINEを登録し直したのかはわかりませんが、家族から『あの子(兄)も更生しようと頑張ってるんだから過去のことをしゃべるな』と言われました」
兄からの暴力で血だらけになったことも…
「家族全員が精神を病んでいる環境」だった
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