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「兄からの暴力で血だらけに…」“家族全員が精神を病んでいる環境”で育った作家が伝えたいこと

“きょうだいげんか”で済まされない現実

虐待 確かに家庭内暴力と聞くと親から子供に向けられるものと思い込まれている。吉川さん同様、きょうだいからの暴力に苦しんでいる人は少なくないはず。このイメージを変えるために必要なこととして、「まず当事者が声を上げにくい現状があります」と口にする。 「私もこれまで家庭内暴力についてSNSなどで発信してきたのですが、『親のことを悪く言うな』『不幸自慢すんな』『嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ』といったことを平気で言われます。これでは発信を続ける気持ちを維持できません」  それでも著書を出版したり、SNSに投稿したりなど発信を続ける背景として、「その暴力によって自分を殺すかもしれない人間と同じ屋根の下に住んでおり、言ってしまえば死と隣り合わせの環境で生活しています。寝ている時も兄にお腹を蹴り上げられることも珍しくなく、とても“きょうだいげんか”とイメージされるような可愛らしいものではありませんでした。家庭内暴力、とりわけ子供から子供への暴力にも関心を持ってほしいです」と訴えた。  家庭内こそ安心して過ごせない、場合によっては死を常に意識させられる空間と感じている人はいる。そういった人が助けを求められるようにするためにも、まずは私達が家庭内暴力を身近に考える必要があるのではないか。 <取材・文/望月悠木>
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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