仕事

中卒“元アイドル”が引退後、30代で社長秘書まで上り詰めた処世術

社内No.1だと誇れるモノは…?

 そのほか、アイドル時代は「やってもらって当たり前」だったことも、社会人では自ら率先して動くようにしていったという。そのうち持ち前のコミュニケーション能力や積極性が評価され、徐々に社内のイベント企画や運営を担うようになる。 「いろんな社員の人から『イベント部長!』と言っていただけるようになり、人を楽しませたり明るくさせたりするコミュニケーション面においては、社内No.1だと誇れるものだと思っています。さらに、自身の経験を活かし、自社の魅力を対外的に伝えていく広報の仕事も任されるようになり、会社の風通しの良さや裁量権の大きさを感じていますね」  高橋さんの主体性に富んだ姿勢が評価され、2022年12月からは広報部責任者兼社長秘書に抜擢。責任感のある仕事を任され、これまでと違った大変さも感じているとか。 「事務仕事と違うのは、社外とのやりとりが増えたこと。応対の仕方や礼儀などにより一層気を遣うようになりました。さらに社長のスケジュール管理も大変で、一度、時間を間違えて設定してしまい、会議に誰も来なかったこともあって(苦笑)。私自身、社長から一番信頼される人になれるよう、まだまだ努力が必要だと感じています」

「会社で一番信頼される人になりたい」

CLINKS株式会社 10年以上やってきたアイドル活動に未練はなく、今は会社の成長に貢献するため、仕事に取り組んでいるという。直近では「TikTok採用に力を入れている」と語り、今後の目標について次のように話す。 「現在、会社では採用の強化を行っていて、毎月10~20名の社員が入社してくるような状態です。こうしたなかで、TikTokも採用媒体として活用できるように、アカウントを開設して、最初の3か月は毎日投稿していました。でも、徐々に1本あたりの企画が雑になったり、ネタ切れしてしまったりと、課題も多かった。今は丁寧に作って、どんな内容がバズるのか試行錯誤しながら考えているところです。これからも、アイドルという経験を活かし、会社に必要とされる自分になれるよう頑張っていきたい」  アイドルのセカンドキャリアを歩む高橋さんは、会社にうまく溶け込み、社会人生活を充実させている。表舞台に立っていた頃のかけがえのない経験が、IT企業に入っても生かされ、キャリアアップにつながっているのは興味深いものだった。 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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