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HSPの当事者が語る、“障害ではなく特性”ゆえのジレンマ

配慮か偏見か。ヘルプマークの課題

新型「生きづらい病」当事者の本音

ヘルプマークは、各自治体で定められている窓口で申し出れば、書類などの提示不要で入手可能

 外見ではわからないが、周囲へ配慮を必要としていることを知らせ、援助を得やすくするヘルプマーク。今回取材した5人中4人が実際に使用していたが、潰瘍性大腸炎のしょうたさんは普段はカバンにしまっている。 「悪目立ちするので抵抗があります。だけど、身体障害者用トイレに行くときだけは身につけます。事情があることをわかってもらうためです」  ヘルプマークの認知度が低い問題もある。HSPの川田さんは、「知人が電車で『なんで若者が優先席に座っているんだ』と怒鳴られたと聞いて怖いと思った」と話す。  重症筋無力症の桑田さんは、自身もヘルプマークをつけながら、ヘルプマークの人に電車で席を譲ったことがある。 「誰も気づく様子がなくて、譲ったあと僕は次の駅で一旦降りました。病気になってみると目に入りますが、以前は、あまり意識できてなかった」

「差別される恐れもある」使用者の心情

 障害法を専門とする放送大学の川島聡教授は、使用者の心情を次のように述べる。 「配慮が必要でも、自ら障害者だと周囲に名乗るようなものなので差別される恐れもあり、知られたくない人もいる。その葛藤を知れば、周囲の行動も変わってくるはず」  また、ヘルプマークを悪用する人がいることも指摘する。 「入手が容易であるため、本来の趣旨と異なる使用もできてしまう。フリマサイトなどでの売買や、酷似したアーティストのグッズも問題になったが、似たデザインは控えていくべきでしょう」  ヘルプマークが十分に活用される日はいつになるのか。
川島聡氏

川島聡氏

【放送大学教授・川島聡氏】 障害法、国際人権法など、障害者等の生活に関わる法分野が専門。共著に『合理的配慮――対話を開く、対話が拓く』(有斐閣)など 写真/PIXTA 取材・文/週刊SPA!編集部
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