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「1杯のコーヒーが、パンパンのビニール袋みたいな重さに感じる」指定難病“重症筋無力症”患者の苦悩

 障害者や難病のハンディを抱えた人との共生社会の実現に向け、世の中は動き始めている。だが、周囲に理解されず生きづらさに悩む実情をどれだけの人が理解しているだろうか。さまざまな生きづらさが渦巻くなか、認知を広げるべく当事者の声を聞いた。

「重症筋無力症」洗濯物を畳むのも一苦労。原因不明の重い疲労感

新型「生きづらい病」当事者の本音

桑田 陸さん(仮名・38歳)

 都内のメーカーに勤める桑田陸さん(仮名・38歳)が抱えるのは、指定難病の「重症筋無力症」、通称MG。主な症状に全身の筋力低下がある。 「8年前から体が急に疲れやすくなり、大学病院にも行きましたが原因は不明。『精神的な問題では』なんて言われ、やり過ごすしかありませんでした。ただ昨年の夏に車を走らせていると、前の車が2台に分かれて見えて……。さすがにヤバいと思い、再び病院を転々とし始めました」  桑田さんの言う“モノがダブって見える”現象は「複視」と呼ばれ、これもまたMG患者に出やすい症状だ。同時に、異常な倦怠感も増していった。 「洗濯物を畳むだけで腕が疲れるし、1杯のコーヒーがパンパンに中身が詰まったビニール袋みたいな重さに感じたり。ほんのひと駅で足が重くなってペンギンのような歩き方になるし、登山したあとのような疲労が出る日もある」

専門医を見つけるまで1年

 こうした症状を抱えながら、桑田さんは10以上の病院を回り続けたという。 「診断確定のためには特別な検査が必要なケースもあり、僕はまさにそのタイプ。ツイッターで同じ症状の人から情報収集をし、専門医を見つけるまで1年かかりました。病院や医師によって対応の差があるのが現実のようです」
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理解されにくい病。上司が放った衝撃の一言とは?
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