更新日:2023年07月26日 15:39
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「電波の悪い場所で通話しているみたい」人の話が聞き取れない“聞き取り困難症”と診断された55歳の苦悩

 障害者や難病のハンディを抱えた人との共生社会の実現に向け、世の中は動き始めている。だが、周囲に理解されず生きづらさに悩む実情をどれだけの人が理解しているだろうか。さまざまな生きづらさが渦巻くなか、認知を広げるべく当事者の声を聞いた。

「聞き取り困難症」人の話を聞き取れず、仕事は1か月で退職

新型「生きづらい病」当事者の本音

和田俊弘さん(仮名・55歳)

 相手の話がうまく聞き取れず、5分に1回は聞き返してしまう――。和田俊弘さん(仮名・55歳)は、幼少期から音声の聞き取りに違和感を抱え続けてきた。 「電波の悪い場所で通話すると、音声が途切れ途切れになるじゃないですか。まさにそんな感覚で、急に会話が聞き取れなくなります」

30年近く検査を受け続けた

 和田さんの症状は「聞き取り困難症」。日本でもここ最近まで認知が薄く、和田さんが当事者だと診断されたのは今年だったという。 「30年近く毎年いろんな病院で聴力検査を受けてきました。ただ聴覚自体に問題はないため正常とされ、症状を伝えても聞き取り困難症だと診断する医者はいませんでした。  ようやく今年、専門医を紹介してもらい判明。背景要因には発達障害が関係しており、現在はADHDの治療薬を服用しながら、病状を示すマークを身につけて生活しています」
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上司から理解されず、苦しんだ会社員時代
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