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「今も楽しくはない」どきどきキャンプ・佐藤満春が歩んだ“芸人らしからぬ”人生

お笑い芸人・構成作家の佐藤満春氏の自叙伝エッセイ『スターにはなれませんでしたが』(KADOKAWA)がスマッシュヒットしている。現在は“サトミツ”の愛称で親しまれ、『ヒルナンデス』『キョコロヒー』『オードリーのオールナイトニッポン』など数多くの人気番組の構成を担当。トイレ・清掃のスペシャリストとしてメディア出演する機会も多い彼だが、ここにたどり着くまでにはさまざまな苦労があったようだ。これまでどんな道を歩んできたのか、本人の口から語ってもらおう。
佐藤満春氏

佐藤満春氏

“ちゃんとした出版社”で企画が通ったから…

——著書はすでに増刷されていて売れ行きは好調なようですね。 佐藤満春(以下、佐藤):この本を企画してくれた編集者の方が社内で立場を危ぶまれないぐらいは売れないと、と思ってがんばりました。皆が買うような本にはなっていないかもしれないですけど、届くべき人のところには届きつつあるので良かったかなと思います。 ——佐藤さんはあまりご自分のことを語りたがらない印象があるんですが、本を書くことには抵抗はなかったですか? 佐藤:「自分のことなんて誰が興味あるんだよ」とは最初に思いましたし、書いている途中も思いましたし、何なら今も思うんですけど、やっぱりKADOKAWAという“ちゃんとした出版社”で企画が通ってるということは、僕の中で1つの説得力になっていて。「大人がそう言ってくれるなら信じるか」とギリギリ思えたんです。

本の執筆が「自分を認めてあげる」きっかけに

佐藤満春氏——実際に書いていく中で、どうやってモチベーションを保っていったんでしょうか? 佐藤:せっかく書くんだから、これまでを振り返りつつ、自分のことをちゃんと冷静に評価してあげたいなと思ったんですよね。もともと悲観的だったり、ネガティブだったりするんですけど、それを理由にして自分のことをちゃんと見てこなかったところもあるんですよ。だから、もうちょっと俯瞰でやってきたことや考えていることを見てみるきっかけになりそうだな、とは思いました。 ——佐藤さんは、自分のことを常に低く見ているイメージもあります。実はそれは冷静に見てそう判断しているというより、あまりちゃんと見ていなかったという感じなんでしょうか。 佐藤:そもそも、「実力的にこんなもんだろうな」と思っちゃってるところもあるんですけど、それってずるい部分もあって。これしかできないんで、って失敗するときの言い訳にもなるじゃないですか。でも、そういう態度って信頼していただいている人に対してはむしろ失礼だなって思うことも増えてきて。この本を書くのが自分のことを認めてあげるきっかけになったのは良かったです。
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オードリーの2人との対談は「ありがたかった」
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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