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「今も楽しくはない」どきどきキャンプ・佐藤満春が歩んだ“芸人らしからぬ”人生

佐藤満春氏

オードリーの2人との対談は「ありがたかった」

——本を書く過程で佐藤さんの中でも気付きや発見があったんですね。 佐藤:めちゃくちゃありましたね。自分の45年間の人生と、その中の芸歴二十何年間かを振り返ってみて、これがあったからこんな人間になっちゃってるんだなとか、逆にこういう経験をしてきたから今こういう仕事してるんだな、とか。点だったものが線で見えるようになったというか。 あと、この本の中でいろんな方と改めて対談をできたのもありがたかったですね。普段一緒に仕事をしている人たちに、自分のことを聞く機会ってなかなかないですから。それは(オードリーの)若林(正恭)くんでも春日(俊彰)でもそうですし。僕のことをこういうふうに考えてくれてるんだ、って思えたのは良かったです。

小2の始業式で絶望、そして…

——小さい頃から何事も楽しめない性格だったようですが、そうなったきっかけになる出来事があったわけではないんですよね。 佐藤:感度が悪かったというか、みんなが楽しめるものを「楽しい」って思えなかったんです。幼稚園とか小1ぐらいで「あれ?」って思ってて、小2で確信に変わりました。 ——小さい頃に楽しくなかったというのは、たとえば「鬼ごっこ」みたいな、周りのみんなが喜んでやっているようなことを自分は楽しめなかったということなんでしょうか。 佐藤:全く面白くないわけじゃないんですけど、こんなにワクワクしないのはなぜなんだろう、というのをずっと思っていて。小学生の頃って1年が長いじゃないですか。そこで「うーん……」と思いながら1年が過ぎて、小2の始業式のときにまた去年と同じことが始まったんですよね。そこで「ああ、もう終わりだ……」と思ったんです。これが6年続くだけなんだ、って。 だから、そこからは本当に先生に怒られない、親に心配されない、というのをテーマにして生きることを決意しました。こんな感じなのが良いわけないとは思っていたんですけど、それで大人に怒られたり心配されたりするのが面倒臭いし嫌だなと。だから真面目に言うことを聞いていたし、宿題もちゃんとやるし、ルールは絶対守っていました。
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「今も楽しくはない」理由
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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