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夏ドラマ13本を総ざらい。テレビマンが注目する“ホントの評価”を視聴率から分析

恋愛ドラマ3作品は合格ライン超え

真夏のシンデレラ

『真夏のシンデレラ』番組公式HPより

《恋愛ドラマ》 ■『真夏のシンデレラ』(フジテレビ、月曜午後9時) 24日、個人3・3%(世帯5・5%)T層2・3%、F1層2・6% ■『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS、火曜午後10時) 18日、個人3・6%(世帯6・8%)T層1・4%、F1層3・0% ■『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ、水曜午後10時) 19日、個人2・8%(世帯5・1%)T層1・2%、F1層2・9% 『真夏のシンデレラ』の主人公は神奈川県・江ノ島でサップトレーナーとカフェ店員をしている蒼井夏海(森七菜)。さらに東大卒で建設会社の御曹司・水島健人(間宮祥太朗)である。この2人に江ノ島、東京の男女が加わり、その恋愛模様が描かれる。  メインターゲットと思しきT層、F1層は合格ラインの2.0%を超えている。恋、海、マリンスポーツ、花火、夏まつりなど若者を惹き付ける要素がふんだんに詰め込められているのが良かったのだろう。  半面、若者より上の世代に支持を拡大するのは難しいはず。この作品の世界観と現実の中高年以上の考え方に隔たりを感じるからだ。健人ら東京の若者は東大卒、あるいは医師というだけでエリートということになっているが、そんな薄っぺらな価値観を持つ中高年以上は少数派に違いない。エリートとは高い能力と厚い人望を兼ね備えた指導者。少なくとも、健人の友人で思い上がった研修医・佐々木修(萩原利久)は含まれない。

現代の若者像がわかる作品

『18/40』の主人公は大学に入ったばかりの18歳・仲川有栖(福原遥)と40歳でアート業界のスペシャリスト・成瀬瞳子(深田恭子)。有栖が妊娠し、それを知った瞳子が出産まで面倒を見ようとしている。  第3話から俄然面白くなってきた。有栖は瞳子のマンションで同居を始めたが、勝手に高校時代の友人を招き入れたことから、きつく叱られる。瞳子は有栖を甘やかすつもりはない。有栖は幼いころに母親を亡くしているが、瞳子はその代わりも務めるつもりなのではないか。2人の恋の行方も興味深い。 『こっち向いてよ向井くん』の主人公は向井悟(赤楚衛二)。33歳の平凡なサラリーマンだ。10年ぶりに彼女をつくろうとしたものの、続けて振られる。その後、かつて1度だけ肉体関係を持った原チカ(藤間爽子)と結婚に向けて交際を始めたが、どうなることやら。現代の若者像と恋愛のカタチをリアルに描いている。
こっち向いてよ向井くん

『こっち向いてよ向井くん』番組公式HPより

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中高年以上の支持が集まる職業ドラマ
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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