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夏ドラマ13本を総ざらい。テレビマンが注目する“ホントの評価”を視聴率から分析

テレビ局側が注視する個人視聴率とターゲット

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写真はイメージです

 大半の夏ドラマの序盤が終了した。プライム帯(午後7~同11時)の作品の個人視聴率と寸評を記したい。  表示する個人視聴率は4歳以上の何%がその作品を観たかを示す個人全体視聴率、13~19歳のT層個人視聴率、20~34歳の女性のF1層個人視聴率の3つ。現在の連続ドラマの大半は若い層をメインターゲットに据えているからだ。参考値として世帯視聴率も付記する。  関東地区の視聴者は約4200万人なので、個人全体視聴率の1%は約42万人。個人全体視聴率は明確に視聴人数が出る。それだけではない。視聴者の性別、年齢、属性(世帯主、主婦)などが細かく分かる。 「何軒観ていたか」しか分からない世帯視聴率とは情報量も正確性も圧倒的に違う。このため、2020年4月からテレビ界とスポンサーの指標は世帯視聴率から個人視聴率に移行した。世帯視聴率はもう実務で使われていない。

年代によって視聴時間にも違いが

 世帯視聴率は「何人観ていたのか」すら分からない。それよりも致命的欠陥がある。高齢者が好む番組ほど数字が上がり、若者に向けた番組は低くなる。偏りが大きすぎるのだ。背景には極端な少子高齢化がある。世帯視聴率は家族の誰か1人でも観ていればカウントされるから、人数が多く、テレビをよく観る高齢者が数字を左右する。  人口の約半分は50代以上である上、60代は平日1日に約4時間31分もテレビを観る。一方、若者は数が少ないだけでなく、10代は平日1日に約57分、20代は平日1日に約1時間11分しか観ないので、比較にならない(2021年総務省調べ)。  現在の連ドラは大半が若者をメインターゲットにしているから、世帯視聴率はほとんどが低い。それは当然のことで、局側もスポンサーも最初から気にしていない。  若者向けの連ドラの視聴率で注視すべきは局側が狙っている若い世代の個人視聴率がどれくらい獲れているか。以下、視聴率と寸評である(7月18~24日、ビデオリサーチ調べ、関東地区)
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恋愛ドラマ3作品は合格ライン超え
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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